「問い合わせが増えていない」「広告を出しているのに成果が見えない」——こんなお悩みを持つ企業担当者の方が、Web担当者や制作会社と話すと必ず出てくる言葉があります。それが CV(コンバージョン) です。
Webマーケティングの世界で最も重要な指標のひとつでありながら、「なんとなくわかるけど、自社のサイトで何をCVにすればいいかわからない」という声をよくいただきます。この記事では、CVの意味から種類、増やすための考え方まで、発注者の方が現場で使える知識として丁寧にお伝えします。
CV(コンバージョン)とは
CV(コンバージョン)とは、Webサイトを訪れたユーザーが「サイトの目的とするアクション」を完了した状態のことです。「コンバージョン(Conversion)」は英語で「転換」「変換」を意味し、Webマーケティングでは「見込み客が顧客に転換した瞬間」を指します。
もう少し具体的に言うと、問い合わせフォームを送信してくれた、資料をダウンロードしてくれた、商品を購入してくれた——こういった「嬉しいアクション」が起きたとき、それをCVと呼びます。
CVはWebサイトの「成果地点」です。アクセス数が何万件あっても、CVが0件なら成果はゼロ。逆にアクセスが少なくても、CVが着実に積み上がっているなら、そのサイトは機能しています。
なぜCVが重要なのか
Webサイトを運用していると、ページビュー数やアクセス数という数字が目に入りやすくなります。でも、それだけ見ていても「サイトが事業に貢献しているかどうか」はわかりません。
CVを把握することで、はじめて次のことが見えてきます。
- 月にどれくらいの問い合わせ・資料請求が来ているか
- どの広告・どの流入経路から来たユーザーが成果につながっているか
- サイトのどのページが問い合わせを生み出しているか
数字が見えると、「何を改善すべきか」の判断が格段にやりやすくなります。感覚で「このページをリニューアルしたい」と言うのではなく、「CVにつながっていないからここを改善しよう」という根拠のある判断ができるようになります。
CVの具体例
「CVって具体的には何を指すの?」という疑問は当然です。CVはサイトの種類や事業モデルによって変わります。以下に代表的な例を挙げます。
企業サイト(BtoB)
BtoB企業のサイトでは、すぐに購入には至らず、まず「関心を示してもらう」ことがゴールになるケースが多いです。
- お問い合わせフォームの送信
- 資料請求・資料ダウンロード
- 見積依頼
- 無料相談・無料体験の申し込み
- メルマガ・メール会員登録
- セミナー・ウェビナーへの参加申し込み
ECサイト
ECサイトでは、商品購入が最終ゴールです。
- 商品の購入完了
- カートへの追加(マイクロCVとして設定する場合も)
- 会員登録
採用サイト
人材採用を目的としたサイトの場合は以下がCVになります。
- 採用エントリーフォームの送信
- 説明会・面談の申し込み
- 採用資料のダウンロード
メディア・ポータルサイト
コンテンツを軸に収益を上げるサイトでは、エンゲージメントや関係構築がCVになることがあります。
- メルマガ登録
- 会員登録
- アプリのダウンロード
CVの種類
CVには計測方法や集計方法によっていくつかの種類があります。特にWeb広告やアクセス解析ツールを使う場合、これらの違いを知っておくと数字の読み方が変わります。
総コンバージョン
同一ユーザーが同じ期間に複数回CVした場合も、すべてカウントする方式です。たとえばひとりのユーザーが資料を2回ダウンロードした場合、「2」としてカウントされます。
ユニークコンバージョン
同一ユーザーが複数回CVしても「1人」としてカウントする方式です。「何人のユーザーが成果に至ったか」を把握したいときに使います。
直接コンバージョン
ユーザーがサイトを訪問し、離脱せずそのままCVした場合を指します。一度のセッション内で完結している成果です。
間接コンバージョン(アシストコンバージョン)
最初にサイトを訪問した際はCVせず、後日再訪問してCVした場合を指します。たとえばSEO検索で記事を読んでいったん離脱し、後日Googleで会社名を検索して問い合わせてくれるケースがこれに当たります。間接CVを正しく計測すると、「一見効果がないように見えるコンテンツ」が実は最終的な問い合わせに貢献していたことがわかります。
クリックスルーコンバージョン
Web広告をクリックしてサイトに来たユーザーがCVした場合を指します。「広告をクリックしてから〇日以内にCVした」という形で計測されることが多いです。
ビュースルーコンバージョン
広告を見た(クリックはしなかった)ユーザーが、後日別の経路からサイトに来てCVした場合を指します。「広告を見たことが影響した可能性があるCV」として計測されます。
マイクロコンバージョンとは
CVには「大きな成果(マクロコンバージョン)」だけでなく、そこに至る途中の小さな成果「マイクロコンバージョン」という概念もあります。
マクロCVが「問い合わせ」だとすると、マイクロCVは「資料のダウンロード」「ページの長時間閲覧」「FAQ閲覧」などです。
マイクロCVを設定する意味は、「成果が少なすぎてデータが溜まらない」という問題を補う点にあります。たとえば、月に2件しか問い合わせが来ないサイトだと、どの施策が良かったかを数字で判断するにはサンプルが少なすぎます。でも、資料ダウンロードが月に20件あればデータが溜まりやすく、「このページを見たユーザーはダウンロードしやすい」といった傾向が見えてきます。
マイクロCVを分析することで、最終的な問い合わせにつながるユーザーの行動パターンが見え、サイト改善のヒントが得やすくなります。
CVR(コンバージョン率)とは
CVと並んでよく使われる言葉が CVR(コンバージョン率) です。CVRとは、サイトへの訪問者のうち何%がCVしたかを示す指標です。
計算式:CVR = CV数 ÷ 訪問数(セッション数)× 100
たとえば、月に1,000人がサイトを訪れて10件の問い合わせがあった場合、CVRは1%です。
業界別のCVRの目安
CVRの良し悪しは業種・サイト種別によって大きく異なります。一般的な目安として、以下のような数値が参考にされることが多いです。
- BtoB企業サイト(問い合わせ):1〜3%
- ECサイト(購入):1〜2%
- 広告LP(特定商品・サービス):3〜5%
「CVRを高める」か「アクセス数を増やす」か——CV数を増やすにはこのふたつのアプローチがあり、どちらを優先すべきかはサイトの状況によって変わります。
複数のCVを設定してもいいの?
「CVはひとつに絞らないといけないの?」という疑問をよくいただきます。答えはノーで、複数のCVを設定することをおすすめします。
たとえば「問い合わせフォームの送信」だけをCVに設定していると、「資料をダウンロードしてくれたけど問い合わせには至らなかった人」の動きが見えなくなります。でも資料ダウンロードもCVとして設定しておけば、「サイトに関心を持ってくれているユーザー」の全体像が把握できます。
複数のCVを設定するときは、それぞれに優先度をつけておくとデータが整理しやすくなります。
- メインCV(最終目標):問い合わせ・資料請求・購入など
- サブCV(マイクロCV):資料ダウンロード・動画視聴・ページ滞在時間など
ツールによっては「コンバージョングループ」として複数CVをまとめて計測できる機能もあります。
CV数を増やすためのポイント
CV数を増やすには、大きく「訪問者数を増やす」と「CVRを高める」のふたつのアプローチがあります。どちらかに偏るのではなく、現状に合わせてバランスよく取り組めるとベストです。
アクセス数を増やす
訪問者数が増えれば、同じCVRでもCV数は増えます。アクセス増加の主な手段は以下のとおりです。
SEO(検索エンジン最適化)
ターゲットが検索するキーワードで上位表示されることで、継続的なアクセスを獲得できます。時間はかかりますが、広告費をかけずに安定した集客ができるのがSEOの強みです。
リスティング広告
検索結果の上部に表示されるテキスト広告です。すぐにアクセスを増やしたい場合に有効で、「問い合わせに近い検索キーワード」を狙うことでCVにもつながりやすくなります。
リターゲティング広告
一度サイトを訪れたものの、CVしなかったユーザーに対して広告を再表示する手法です。「気になっているけど問い合わせるか迷っている」ユーザーへの背中を押す効果があります。
CVRを高める
訪問者数が同じでもCVRが上がればCV数は増えます。CVR改善には次のようなアプローチがあります。
コンバージョンポイントへの導線設計
「問い合わせページに行くまでが遠い」「ボタンが見つかりにくい」といった問題を解消します。ファーストビューや各コンテンツページにCTAボタンを複数配置し、ユーザーがCVしたいと思ったタイミングですぐに行動できる設計を整えます。
EFO(エントリーフォーム最適化)
フォームの項目数が多すぎると、入力途中で離脱してしまうユーザーが増えます。「最初から全項目を聞かない」「必須項目を最小限にする」といった工夫で、フォーム到達→送信完了までの離脱率を下げることができます。
UI/UXの改善
ページの読みやすさ・使いやすさを改善することで、ユーザーが「ここなら安心して問い合わせられる」と感じる状態に近づけます。スマートフォンでの表示確認や、ページの読み込み速度改善なども含まれます。
マイクロCVの活用
問い合わせのハードルが高いと感じているユーザーのために、「まず資料をダウンロード」「無料相談から試してみる」といったより軽いCVポイントを用意します。段階的に関係を築くことで、最終的な問い合わせにつながりやすくなります。
CVを設定すると、コンテンツも作りやすくなる
「CVって、数字の話だけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、CVを明確に設定するとコンテンツ制作にも大きな影響があります。
たとえば「問い合わせ」をCVに設定したとき、「なぜこの会社に問い合わせたくなるのか」「どんな不安が問い合わせを躊躇わせているのか」を考えるようになります。すると、「よくある質問ページを充実させよう」「施工事例をもっと増やそう」「料金の目安を出そう」といった具体的なコンテンツアイデアが出てきます。
CVを起点に「どんな情報があればユーザーは安心して問い合わせられるか」を逆算することで、ただページ数を増やすのではなく、成果につながるコンテンツ設計ができるようになります。
CVを改善するには「現状把握」から
CVを増やしたいとき、最初にやることはツールを導入することでも広告を増やすことでもありません。現状のCVR・CV数・流入経路を把握することです。
「月に何件CVがあるか」「どの経路からのユーザーがCVしやすいか」「フォームのどのステップで離脱しているか」——これらを数字として把握してからはじめて、「何を改善すべきか」が見えてきます。
アクセス解析ツール(Google Analyticsなど)やGoogle Tag Managerを使えば、CVの計測は自社でも設定できます。ただし、設定が正しくないとデータが取れない・誤ったデータが溜まるリスクがあるため、最初は専門家に確認してもらうことをおすすめします。
当社でもCV計測の設定支援や、CVを起点にしたサイト改善のご相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。