ウェブサイトやアプリを見ていると、ページの上部や側面に画像や動画の広告が表示されることがありますよね。あれが「ディスプレイ広告」です。
検索窓に何かを入力しなくても目に触れるため、まだ自社のことを知らない人にも存在を知ってもらえる、認知拡大に向いた広告手法です。Web広告全体の中でもポピュラーな種類のひとつで、中小企業の集客施策でも多く活用されています。
この記事では、ディスプレイ広告の基本的な仕組みから種類・メリット・デメリット・費用感・運用のポイントまで、発注側の担当者や経営者の方に向けてわかりやすくまとめました。
ディスプレイ広告とはどんな広告か
ディスプレイ広告とは、Webサイトやスマートフォンアプリ上の広告枠に表示される、画像・動画・テキストを使った広告のことです。「バナー広告」と呼ばれることもあります。
ニュースサイトやブログ、まとめサイト、天気予報のサイトなど、日常的によく見るWebページのあちこちに表示されている広告がディスプレイ広告に該当します。スマートフォンのアプリを使っているときに挟まってくる広告も同じ仕組みです。
検索広告(リスティング広告)が「何かを検索しているユーザー」に向けた広告なのに対して、ディスプレイ広告は「特定のWebページを閲覧しているユーザー」に向けた広告です。検索行動とは関係なく表示されるため、まだ商品やサービスを知らない潜在層にリーチできる点が大きな特徴です。
ディスプレイ広告の仕組み
ディスプレイ広告は、広告を出したい企業(広告主)と、広告枠を持つWebサイト(メディア)をつなぐプラットフォームを通じて配信されます。
代表的なプラットフォームは以下の2つです。
GDN(Googleディスプレイネットワーク)
Google広告が持つ配信ネットワークで、YouTubeやGmailを含む数百万以上のWebサイトやアプリに広告を配信できます。リーチ範囲が非常に広く、初めてディスプレイ広告に取り組む企業にも使いやすい仕組みです。
YDN(Yahoo!ディスプレイアド ネットワーク)
Yahoo!JAPANが持つ配信ネットワークで、Yahoo!ニュースや各種Yahoo!サービスを閲覧するユーザーに広告を届けられます。Yahoo!系メディアを日常的に使っているユーザー層(特に40〜60代)にリーチしやすい傾向があります。
広告が表示される仕組み(RTB)
ディスプレイ広告は、ユーザーがWebページを開いた瞬間に、広告主同士のオークション(入札)が自動で行われる「RTB(リアルタイム入札)」という仕組みで配信されます。ページが読み込まれる0.1秒程度の間に入札・落札・広告表示までが完了するため、ユーザーには意識されることなくパーソナライズされた広告が届く仕組みです。
ディスプレイ広告の種類
ディスプレイ広告にはいくつかの種類があります。目的や予算に合わせて選べるとベストです。
バナー広告(静止画)
画像1枚で構成されるシンプルな広告です。ロゴや商品写真にキャッチコピーを組み合わせたものが多く、制作コストを抑えやすい形式です。
レスポンシブディスプレイ広告
複数の画像・テキスト・ロゴを登録すると、Google AIが掲載面に合わせて最適な組み合わせを自動生成してくれる広告形式です。さまざまなサイズの広告枠に自動対応するため、素材の数を最小限に抑えながら多くの枠に配信できます。
動画広告
動画を使った広告で、静止画より視覚的なインパクトが強く、商品のイメージや世界観を伝えやすい形式です。YouTube広告などが代表的です。
ネイティブ広告
メディアの記事一覧や投稿フィードの中に自然に溶け込む形で表示される広告です。「広告っぽくない」見た目のためクリックされやすい特徴がある一方、ユーザーに広告だと気づかれないリスクもあるため、「PR」「広告」の表記が義務づけられています。
リターゲティング広告(リマーケティング)
過去に自社サイトを訪れたユーザーを追いかけて、別のWebサイトを閲覧しているときに再度広告を表示する手法です。「さっき見ていた商品の広告が、別のサイトでまた出てきた」という体験がこれにあたります。一度興味を持ったユーザーに再アプローチできるため、コンバージョン率が高くなりやすい傾向があります。
純広告(予約型)
特定のメディアの広告枠を期間・費用で買い取る形式です。「○○ニュースのトップバナーを1週間」のように予約して掲載します。大手メディアへの掲載でブランドイメージの向上が期待できる一方、費用が高く成果の保証がないため、中小企業では運用型が主流です。
ディスプレイ広告のターゲティング方法
ディスプレイ広告の大きな特徴のひとつが、ターゲティングの豊富さです。「誰に届けるか」を細かく設定できます。
コンテンツターゲティング
広告を表示するWebページの内容に基づいて配信します。「料理レシピサイトに食材の広告を出す」イメージです。コンテンツとの関連性が高いため、ユーザーの関心と広告の内容が一致しやすくなります。
キーワードターゲティング
指定したキーワードが含まれるページに広告を表示する方法です。コンテンツターゲティングに近い考え方ですが、より特定のトピックを絞り込みやすいのが特徴です。
興味・関心ターゲティング
ユーザーの過去の閲覧履歴や行動データをもとに、「このユーザーはこういうことに興味がある」と推定して広告を配信します。ページの内容ではなく「人」に絞り込むアプローチです。
属性ターゲティング
年齢・性別・居住地域・デバイス(スマートフォン/PCなど)といった属性情報で絞り込む方法です。特定の地域や年代に届けたいときに役立ちます。
プレースメントターゲティング
広告を表示したいWebサイトやアプリを指定して配信する方法です。「このメディアの読者層に届けたい」という場合に有効で、ブランドのイメージコントロールにも使えます。
リマーケティングターゲティング
自社サイトに訪れたことがあるユーザーに再度広告を表示する方法です。前述のリターゲティング広告と同じ仕組みで、すでに関心を持っているユーザーへの再アプローチになります。
ディスプレイ広告のメリット
潜在層にアプローチできる
リスティング広告は「今まさに検索しているユーザー」にしか届きません。一方、ディスプレイ広告はまだ検索もしていない段階のユーザー、つまり「商品の存在を知らないが、潜在的に必要としている人」に広告を届けられます。認知拡大・ブランディングに向いている広告手法です。
リーチ範囲が広い
GDNだけでも数百万以上のWebサイト・アプリに配信できます。検索広告では届けられない層にも幅広くリーチできるため、新規顧客の獲得を目指す施策として機能します。
視覚的に訴求できる
画像や動画を使えるため、テキストだけでは伝わりにくい商品の質感やブランドの世界観を視覚的に伝えることができます。食品・アパレル・インテリアなど、見た目が購買意欲に直結する商品との相性がとくによいです。
費用を柔軟にコントロールできる
1日あたりの上限予算を設定できるため、「この月は〇〇円まで」とコントロールしやすいです。少額から始めて効果を確認しながら予算を増やしていくアプローチも取りやすい構造になっています。
リターゲティングで取りこぼしを拾える
一度サイトに来てくれたのに問い合わせに至らなかったユーザーに対して、再度広告で接触できます。検討段階にある見込み顧客へのフォローアップ手段として有効です。
ディスプレイ広告のデメリット
メリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておけるとベストです。
クリック率(CTR)が低くなりやすい
ユーザーが能動的に検索して出てくる広告ではなく、閲覧中のページに表示される広告のため、興味を持ってクリックされる割合(CTR)は一般的に低めです。表示回数に対するクリック数は0.1〜0.5%程度が目安とされています。
コンバージョンまでのパスが長い
潜在層へのアプローチが主なため、広告を見てすぐに問い合わせや購入に至るケースは少なく、認知→関心→検討→行動というプロセスを経ることになります。リスティング広告と比べて成果(コンバージョン)が出るまでに時間がかかる傾向があります。
クリエイティブの質が成果に影響する
どれだけターゲティングが精度高くても、広告の画像やコピーが魅力的でなければクリックにつながりません。静止画・動画・テキストのクリエイティブを定期的に見直す手間がかかります。
広告疲れ(バナーブラインドネス)が起きやすい
ユーザーがバナー広告を無意識に無視するようになる「バナーブラインドネス」という現象があります。同じクリエイティブを長期間使い続けると効果が落ちていくため、定期的な更新が必要です。
ディスプレイ広告の費用感
ディスプレイ広告の費用は、課金方式によって変わります。
CPC(クリック課金)
ユーザーが広告をクリックしたときだけ費用が発生する方式です。表示されるだけでは費用がかからないため、無駄なコストを抑えやすいのが特徴です。1クリックあたりの相場は数十円〜数百円程度で、業種・競合・ターゲティング条件によって大きく変わります。
CPM(インプレッション課金)
広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する方式です。認知拡大を目的にした配信に向いており、クリックよりも「見てもらうこと」を重視するときに使います。
月間の予算目安
GDNのディスプレイ広告であれば、月3〜5万円程度から始めることは可能です。ただし、データが蓄積されて最適化が進むまでに一定の期間(1〜3ヶ月程度)がかかるため、初期は「テスト費用」として割り切る考え方がやりやすいです。
代理店に運用を委託する場合は、広告費に加えて運用手数料(広告費の15〜20%程度が相場)がかかります。
リスティング広告との違い
ディスプレイ広告をリスティング広告と比較して整理しておきます。
どちらも「Web広告」ですが、役割が異なります。
リスティング広告は「今まさに検索しているユーザー」に届ける広告です。購買意欲が高い顕在層へのアプローチが得意で、問い合わせや購入に直結しやすい反面、検索ボリュームに配信量が依存します。
ディスプレイ広告は「まだ検索していないユーザー」にも届けられる広告です。潜在層への認知拡大に強く、リーチ範囲が広い反面、クリック率や即時のコンバージョンはリスティングより低めになります。
理想は両方を組み合わせて使うことですが、どちらか一方から始める場合は、まず購買意欲の高いユーザーに確実に届くリスティング広告から始めるのが一般的です。ある程度の成果が出てきたら、認知拡大・リターゲティングとしてディスプレイ広告を加えていくステップが取りやすいです。
効果的な運用のポイント
目的を明確にする
「認知拡大」「リターゲティング」「特定ページへの誘導」など、何のために使うかによって最適な設定が変わります。目的が曖昧なまま配信すると、データが分散して改善の方向性が見えにくくなります。
ターゲティングを絞りすぎない
最初から細かく絞り込むと配信量が少なくなりすぎてデータが集まりません。まずは広めに配信してデータを蓄積し、効果の出ているターゲット層を見つけてから絞り込んでいく流れが効果的です。
クリエイティブを複数パターン用意する
画像・コピーを複数パターン用意して同時に配信し、クリック率やコンバージョン率が高いものを残していくABテストの考え方が有効です。1種類のみで配信し続けると、バナーブラインドネスの影響で徐々に効果が落ちていきます。
ランディングページの質も見る
広告からの流入後、ユーザーが問い合わせや購入に至るかどうかはランディングページの内容・デザイン・導線に大きく依存します。広告の最適化だけでなく、着地ページの改善もセットで進めるとベストです。
定期的にレポートを確認する
配信後は放置せず、週1回程度はクリック率・コンバージョン率・費用対効果(CPA)を確認します。数値の変化から「どのターゲットに効いているか」「どのクリエイティブが弱いか」を読み取り、改善を繰り返していくことが運用の基本です。
ディスプレイ広告が向いているケース
すべての企業・すべての目的に合うわけではないため、向いているケースを整理しておきます。
認知拡大・ブランディングを強化したい企業、新商品・新サービスの立ち上げ時に多くの人に知ってもらいたい場面、リスティング広告だけでは取りこぼしている潜在層へのアプローチをしたい場合、過去に自社サイトを訪れたユーザーへのリターゲティングをしたい場合などに向いています。
一方で、今すぐ問い合わせや購入につなげたい・短期での費用対効果を求める場合は、リスティング広告のほうが結果を出しやすい傾向があります。
まとめ
ディスプレイ広告は、検索していないユーザーにも広くリーチできる画像・動画形式のWeb広告です。認知拡大やリターゲティングに強く、ターゲティング手法も豊富なため、段階的に接触回数を増やしながら購買行動につなげていく施策として活用できます。
すぐに成果を求める広告ではなく、中長期的なブランド構築・潜在顧客の育成を目的に使うのが適した使い方です。リスティング広告と組み合わせることで、顕在層・潜在層の両方をカバーしたWeb広告運用ができるとベストです。
「何から始めればいいかわからない」という場合は、まず目的と予算を整理したうえで、少額から試してデータを蓄積していく進め方が取り組みやすいです。
関連用語
- リスティング広告 — 検索結果に表示されるテキスト広告。顕在層へのアプローチに強い
- リターゲティング広告 — 過去に自社サイトを訪れたユーザーに再表示する広告手法
- インプレッション — 広告が画面に表示された回数を示す指標
- CPC — 広告が1クリックされるごとに発生するコストのこと
- CPM — 1,000回表示ごとに発生する費用。認知拡大型の課金方式