オープンソースとは?発注者が知っておきたいOSSの意味・メリット・注意点

オープンソースとは、ソースコード(プログラムの設計図)が一般に公開されており、誰でも自由に使用・改変・再配布できるソフトウェア、またはその考え方のことです。英語では “Open Source” と表記し、略称として OSS(Open Source Software) とも呼ばれます。

「コードを公開すると悪用されるのでは?」と不安に思われる方もいるかもしれませんが、実はその反対で、世界中の開発者が一緒に改善・チェックし合うことで、むしろ品質が高まりやすいという特性があります。

Web制作の現場では、オープンソースのソフトウェアは欠かせない存在です。皆さんがよく耳にするWordPressも、代表的なオープンソースのひとつです。

オープンソースの基本的な考え方

オープンソースの核心にあるのは「ソースコードを隠さない」という考え方です。

通常のソフトウェア(クローズドソース・プロプライエタリソフトウェアと呼ばれます)は、プログラムの中身が非公開で、利用するにはライセンス料を払い、改変することも許可されていません。一方、オープンソースはソースコードをオープンにして、誰でも中身を確認でき、自分たちのニーズに合わせて改変したり、改善版を配布したりできます。

ソースコードって何?

ソースコードとは、プログラマーがコンピュータへの指示を書き記したテキストのことです。料理に例えると「レシピ」のようなもので、レシピが公開されていれば誰でもその料理を作ったり、アレンジしたりできますよね。オープンソースはまさにそういった状態です。

オープンソースの定義(OSI基準)

オープンソースには明確な定義があります。OSI(Open Source Initiative:オープンソース推進団体)が定める基準には、主に以下のような要件が含まれています。

  • 自由に再配布できること
  • ソースコードが公開されていること
  • 改変版の配布が許可されていること
  • 特定のグループや用途を差別しないこと

これらを満たしたソフトウェアのみが「オープンソース」と名乗れます。ただ「無料で使える」だけではオープンソースとは言えません。

フリーウェアとの違い

「無料で使えるなら、フリーウェアも同じでは?」と思われる方もいます。しかし、フリーウェアとオープンソースは異なります。

項目 オープンソース フリーウェア
無料で使えるか 多くの場合、無料 無料
ソースコードの公開 公開(必須) 非公開が多い
改変・再配布 条件付きで可能 基本的に不可

フリーウェアは「無料で使える」だけであり、ソースコードは非公開のまま、改変や再配布も禁止されているケースがほとんどです。オープンソースは無料かどうかよりも「ソースコードが公開されており、改変・再配布の自由がある」という点が本質です。

オープンソースのメリット

オープンソースを活用すると、さまざまなメリットがあります。特にWebサイト制作やシステム導入の文脈では、以下のメリットが重要です。

コスト削減

多くのオープンソースソフトウェアは無料で利用できます。有償のソフトウェアだと、導入時のライセンス料に加えて、年間の保守費用や利用者数に応じた追加料金がかかることも。オープンソースであれば、その分のコストを他の投資(コンテンツ制作や広告など)に回せます。

カスタマイズの自由度が高い

ソースコードが公開されているため、自社のニーズに合わせた改変が可能です。既製品のソフトウェアでは「もう少しここをこうしたい」という細かい要望に応えられないことがありますが、オープンソースであれば理論上は自由に変更できます(技術者が必要です)。

世界中のコミュニティが改善に参加

オープンソースには、世界中の開発者コミュニティが参加して、バグの発見・修正や機能改善を行っています。多くの目でチェックされるため、問題の発見と解決が速いのが特徴です。WordPressが世界中で広く使われ続けているのも、このコミュニティの力が大きな理由のひとつです。

特定ベンダーへの依存リスクが低い

有償ソフトウェアは、提供会社が事業撤退したり、急激な値上げをしたりすると、利用者が困る場面があります。オープンソースはソースコードが公開されているため、開発元がなくなっても別の開発者が引き継ぐことができ、長期的な安定性が期待できます。

透明性・セキュリティ面の安心感

一見すると「コードが公開されている=悪用されやすい」と感じるかもしれません。しかし実際には、コードを多くの目でチェックできるため、脆弱性(セキュリティの穴)が発見されやすく、修正も素早く行われる傾向があります。大勢の専門家がコードを確認しているという点で、むしろ透明性が高いとも言えます。

オープンソースの注意点・デメリット

メリットが多い一方で、注意すべき点もあります。導入前にしっかり把握しておきましょう。

サポート体制が手薄になりやすい

有償ソフトウェアであれば、問題が発生したときにサポート窓口に連絡できます。オープンソースの場合、公式のサポートが存在しないことも多く、問題解決はコミュニティのフォーラムや自社のエンジニアに頼るケースが多くなります。もちろんWordPressのように商用サポートが整っているものもありますが、ケースバイケースです。

技術的な知識が必要な場面も

カスタマイズや問題解決には、プログラミングの知識が必要になります。「無料だからといって誰でも簡単に使いこなせる」というわけではなく、技術者のサポートが別途必要になることがほとんどです。

アップデートが停滞するリスク

コミュニティ主導で開発されているため、場合によっては開発が止まったり、アップデートが遅くなることがあります。長期的に利用するソフトウェアを選ぶ際は、コミュニティの活発さや開発の継続性も確認できるとベストです。

ライセンスの確認が必要

オープンソースには「誰でも自由に使える」というイメージがありますが、実際にはライセンス条件があり、これを守る必要があります。特に、自社のシステムに組み込んで商用利用する場合や、改変したコードを配布する場合は注意が必要です。

オープンソースのライセンスの種類

オープンソースソフトウェアには、利用条件を定めたライセンスが必ず付いています。代表的なライセンスを理解しておきましょう。

GPL(GNU General Public License)

もっとも広く使われているオープンソースライセンスのひとつです。GPLの特徴は「コピーレフト」という考え方で、GPLのソフトウェアを改変・組み込んだソフトウェアも、同じくGPLで公開しなければなりません。WordPressはGPLライセンスを採用しています。

MIT ライセンス

非常に制限が少ないライセンスです。商用利用・改変・再配布・非公開での利用が自由に認められており、著作権表示さえ行えば問題ありません。制約が少ない分、企業での採用も多いです。

Apache ライセンス

MITライセンスと同様に比較的自由度が高く、商用利用も可能です。ApacheやAndroidのOSが採用しています。

BSD ライセンス

MITライセンスと似た性質を持つシンプルなライセンスです。著作権表示と免責事項の記載があれば、商用利用を含め自由に使えます。

ライセンスごとに条件が異なるため、導入前に確認しておくことが大切です。「無料で使えるなら何でもOK」ではなく、条件に従って正しく利用することが求められます。

代表的なオープンソースソフトウェアの例

身近なところで、オープンソースのソフトウェアはさまざまな場面で活躍しています。

WordPress

世界中のWebサイトの約40%以上で使われているCMS(コンテンツ管理システム)です。ブログや企業サイト、ECサイトまで幅広く対応でき、プラグインやテーマも豊富に揃っています。GPLライセンスのもと、世界中の開発者が機能を拡充し続けています。

Linux

世界で最も普及しているオープンソースのOSです。サーバーやスマートフォン(Android)、組み込みシステムなど、あらゆる場所で活用されています。Windowsや macOSと並ぶ主要なOS選択肢のひとつです。

Firefox

Mozillaが開発するWebブラウザです。オープンソースのため、コミュニティによる継続的な改善が行われており、プライバシー保護への取り組みでも知られています。

Apache HTTP Server

Webサーバーソフトウェアの代表格です。多くの企業のウェブサイトや社内システムで使われており、インターネットインフラを支える重要な存在です。

MySQL / PostgreSQL

データベース管理システムです。WordPressをはじめ、多くのWebアプリケーションがデータの保存・管理に利用しています。

LibreOffice

Microsoft Officeの代替として使えるオフィスソフトです。文書作成・表計算・プレゼンテーションなどの機能を無料で利用できます。

Webサイト制作とオープンソースの関係

Webサイトを外注する立場(発注者)から見ると、「オープンソースを使っているかどうか」は、実は大事な確認ポイントのひとつです。

なぜなら、オープンソースベースのシステム(特にWordPress)で作られたサイトは、制作会社が変わっても引き継ぎがしやすいからです。特定の制作会社が独自開発したクローズドなシステムでサイトを作ると、その会社との取引を終了した後に、更新や移行が困難になることがあります。

オープンソースで構築されたサイトは、世界中に対応できる技術者がいるため、社内担当者が変わったり、パートナー企業を見直したりした場合でも、柔軟に対応しやすい点がメリットです。

また、WordPressのプラグインやテーマもオープンソースが多く、機能追加のコストを抑えられることも、発注者にとってのメリットと言えます。

オープンソースを選ぶときのチェックポイント

オープンソースソフトウェアを選ぶ際に確認したいポイントをまとめました。

コミュニティの活発さ

GitHubなどのリポジトリ(ソースコードの公開場所)で、直近の更新状況や参加者数を確認できます。開発が活発であれば、バグ修正や新機能追加が継続して行われている証拠です。

ドキュメントの充実度

公式ドキュメントや解説記事が豊富に揃っていると、導入後のトラブル解決がしやすくなります。日本語の情報がどれだけ充実しているかも確認できるとベストです。

ライセンスの適合性

自社の利用目的(商用利用・改変の有無・配布の予定など)に対して、ライセンス条件が合っているかを確認しましょう。

長期的なサポート状況

主要なディストリビューション(配布パッケージ)がLTS(長期サポート)版を提供しているかどうかも、安定運用の観点から重要です。

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