ユーザビリティテストとは?種類・進め方・少人数でも効果が出る理由

「サイトのユーザビリティを改善したい」と思っても、何をどう直せばいいのか、社内の感覚だけでは決められない——そんな悩みを持つWeb担当者は少なくありません。

そんなときに使えるのが「ユーザビリティテスト」です。実際のユーザーにサイトを操作してもらい、どこでつまずくのか、何を感じているのかを直接観察する手法です。

この記事では、ユーザビリティテストの種類や具体的な進め方、そして「何人集めればいいのか」といった実務上の疑問まで、わかりやすく解説します。

ユーザビリティテストとは何か

ユーザビリティテスト(Usability Test)とは、実際のユーザー(またはターゲットに近い被験者)に、Webサイトやアプリ上で特定のタスクを実際に操作してもらい、どこでつまずくか・何を感じるかを観察・分析する調査手法です。

「使いやすさ」そのものの概念については別の記事「ユーザビリティ」で解説していますが、ユーザビリティテストはその使いやすさを、実際の行動・発言から具体的に検証するための「手法」にあたります。社内のメンバーだけで「これは使いやすいはずだ」と議論しても、実際のユーザーの視点とはズレていることが少なくありません。ユーザビリティテストは、その思い込みを崩すための現実的な手段です。

ユーザビリティテストの主な種類

モデレーテッドテスト(有人テスト)

進行役(モデレーター)が被験者に対面またはオンラインで直接タスクを依頼し、操作の様子や発言をリアルタイムで観察する方法です。「なぜそこをクリックしたのか」をその場で質問できるため、深い気づきが得られやすい一方、実施には時間と人手がかかります。

アンモデレーテッドテスト(無人テスト)

被験者が自分の都合の良いタイミングで、ツール上でタスクを実施し、その様子が録画される方法です。オンラインの調査ツールを使えば、進行役なしで複数人分のデータを短期間で集められます。深掘りの質問はできませんが、コストと時間を抑えられるのが利点です。

シンキングアラウド法(思考発話法)

被験者に「今考えていることをそのまま声に出してもらいながら」操作してもらう手法です。「ここが分かりにくい」「これはどこにあるんだろう」といった思考の過程がそのまま得られるため、つまずきの原因を特定しやすくなります。

5秒テスト

ページを5秒だけ見せて、覚えている情報や第一印象を答えてもらう手法です。ファーストビューで伝えたい情報がきちんと伝わっているかを短時間で検証できます。

ツリーテスト

デザインを見せずに、メニュー構成(サイトの情報構造)だけを提示し、「目的の情報にたどり着けるか」を検証する手法です。ナビゲーションの分かりやすさを、見た目のデザインに影響されずに評価できます。

ユーザビリティテストの進め方

ステップ1:目的とタスクを決める

「何を検証したいのか」を先に決めます。たとえば「新しい問い合わせフォームは迷わず送信まで完了できるか」など、検証したい行動を具体的なタスクとして設計します。「トップページから料金ページを探して、問い合わせボタンを押してください」のように、被験者に依頼する指示文を作りましょう。

ステップ2:被験者を集める

ターゲットユーザーに近い属性の人を集めます。社内の人間は操作に慣れすぎているため避け、可能な限り「初めてサイトを見る人」に近い人を選びます。

ステップ3:テストを実施する

モデレーテッドの場合は「困っていても口を出さない」ことが鉄則です。被験者がつまずいている様子こそが最も価値のあるデータであり、進行役が誘導してしまうと本来の課題が見えなくなります。

ステップ4:結果を分析し改善につなげる

タスクの完了率、かかった時間、迷った箇所、被験者の発言を整理し、共通するつまずきのパターンを洗い出します。改善案を出したら、再度テストして効果を検証するサイクルを回すのが理想です。

何人でテストすればいいのか

「サンプル数が少なくて意味があるのか」と不安になる方も多いですが、ユーザビリティテストは統計的な有意差を求める定量調査とは性質が異なります。ヤコブ・ニールセン氏の研究では、5人程度のユーザーテストで、サイトが抱える主要なユーザビリティ課題の8割ほどが発見できるとされています。人数を増やすよりも、発見した課題をもとに改善し、再テストを繰り返すほうが費用対効果が高いというのが定説です。

多変量テスト・A/Bテストとの違いと使い分け

多変量テスト」の記事でも紹介した通り、多変量テストやA/Bテストは、複数のパターンを実際のアクセスデータで比較し、「どちらの数字が良いか」を統計的に検証する定量的な手法です。一方でユーザビリティテストは、少人数の行動観察から「なぜそうなるのか」を掘り下げる定性的な手法です。

効果的な流れは、まずユーザビリティテストで「ユーザーがどこでつまずいているか」の仮説を洗い出し、その仮説をA/Bテストや多変量テストで定量的に検証する、という組み合わせです。仮説なしにテストパターンを作ると、当てずっぽうの検証になりがちです。ユーザビリティテストは、その仮説の質を高める土台になります。

実施のタイミングと具体例

サイトリニューアルの設計段階(ワイヤーフレームやプロトタイプの状態)で実施すれば、実装後の手戻りを防げます。すでに公開しているサイトであれば、問い合わせフォームやECサイトのカート導線など、コンバージョン率(CVR)に直結するページから優先的に検証するとよいでしょう。

使えるツール

オンラインでアンモデレーテッドテストを実施できる調査ツールのほか、ヒートマップツールと組み合わせて実際のユーザー行動を裏付けるデータを取る方法もあります。予算が限られる場合は、テスト設計から被験者リクルーティングまで代行してくれる調査会社を利用する方法や、社外の知人・友人に協力してもらう簡易的な「ゲリラテスト」でも一定の効果があります。

実施する際の注意点

被験者への誘導質問を避ける

「ここは使いやすいと思いませんか?」のような誘導質問は、被験者の本音を引き出せません。「今、何をしようとしていますか?」のようなオープンな質問を心がけましょう。

少人数の結果を過信しすぎない

5人程度のテストは「主要な課題」を見つけるには十分ですが、細かい好み・少数派の意見まで拾いきれるわけではありません。重要な意思決定には、定量データ(アクセス解析やA/Bテストの結果)とあわせて判断することが大切です。

まとめ:ユーザビリティテストは「思い込み」を崩す最短ルート

ユーザビリティテストは、少人数でも実施でき、かつ効果の高い調査手法です。社内の感覚だけで「使いやすいはず」と判断するのではなく、実際のユーザーの行動を観察することで、思わぬつまずきポイントが見えてきます。まずは5人からでも構いません。サイト改善の第一歩として取り入れてみてはいかがでしょうか。


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