アジャイル開発とは?ウォーターフォールとの違いと発注者が知っておくべき特徴

Webサイトやアプリの開発を依頼したとき、「アジャイル開発で進めます」と言われたことはありませんか?でも、「アジャイルって何?」「どんな進め方なの?」と、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。

アジャイル開発は、従来の開発手法とは大きく異なるアプローチで、近年のWebやアプリ開発の現場ではスタンダードになりつつある開発手法です。

この記事では、アジャイル開発の基本的な考え方から、発注者として知っておくべきポイントまでをわかりやすく解説します。


アジャイル開発とは何か?

アジャイル開発(Agile Development)とは、「小さなサイクルを繰り返しながら、ソフトウェアを段階的に完成させていく」開発手法です。

「アジャイル(Agile)」は英語で「機敏な」「素早い」という意味。その名の通り、変化に素早く対応しながら開発を進めることが特徴です。

具体的には、数週間〜1ヶ月程度の短い期間(「スプリント」や「イテレーション」と呼ばれます)に区切って、設計・開発・テスト・フィードバックを繰り返します。各サイクルで動くものを作りながら少しずつ改善していくため、途中での仕様変更にも対応しやすいのが大きなメリットです。


ウォーターフォール開発との違い

アジャイル開発を理解するには、従来の「ウォーターフォール開発」と比較するとわかりやすくなります。

ウォーターフォール開発とは?

ウォーターフォール開発は、水が上から下へ流れるように、工程を順番に進める開発手法です。

  1. 要件定義(何を作るか決める)
  2. 設計(どう作るか設計する)
  3. 実装(コーディングする)
  4. テスト(不具合を検証する)
  5. リリース(公開する)

このように各工程を完全に終わらせてから次の工程へ進むため、計画通りに進めやすく、大規模プロジェクトや仕様が最初から明確なプロジェクトに向いています。

アジャイルとウォーターフォールの主な違い

比較項目 アジャイル開発 ウォーターフォール開発
進め方 小さなサイクルを繰り返す 工程を順番に進める
仕様変更への対応 柔軟に対応できる 対応が難しい・コストがかかる
成果物の確認タイミング 各サイクルで確認できる 最後にまとめて確認
向いているプロジェクト 変化が多い・要件が不明確 仕様が固まっている・大規模
スケジュール管理 柔軟性が高い 予測しやすい

ウォーターフォールは「最初に全部決めてから作る」のに対し、アジャイルは「作りながら決める」イメージです。どちらが優れているというわけではなく、プロジェクトの性質によって向き不向きがあります。


アジャイル開発の代表的な手法

アジャイル開発にはいくつかの具体的な手法(フレームワーク)があります。実際の現場ではこれらが使われています。

スクラム(Scrum)

アジャイル開発の中で最もよく使われるフレームワークです。「スプリント」と呼ばれる1〜4週間のサイクルを繰り返しながら開発を進めます。

  • プロダクトオーナー(発注者側の担当者): 何を作るかの優先順位を決める
  • スクラムマスター: チームの進行をサポートする役割
  • 開発チーム: 実際に開発を行うメンバー

発注者が積極的に関わることで、完成品の品質やビジネスへの適合度が高まるのが特徴です。

カンバン(Kanban)

タスクを「To Do(未着手)」「In Progress(進行中)」「Done(完了)」などの列に分けてボード上で管理する手法です。視覚的にわかりやすく、スムーズな進捗確認ができます。

XP(エクストリームプログラミング)

ペアプログラミングやテスト駆動開発など、技術的な品質を重視した手法です。開発者同士が協力しながら高品質なコードを書くことに重点を置いています。


アジャイル開発のメリット

発注者の立場から見たアジャイル開発の主なメリットを紹介します。

1. 途中での変更に対応しやすい

ビジネスの世界では、開発途中で状況が変わることがよくあります。競合の動向が変わったり、新しいアイデアが生まれたり、ユーザーの反応を見て方向転換したくなることもあるでしょう。

アジャイル開発では短いサイクルで進めるため、次のスプリントから方向修正することができます。ウォーターフォールでは「仕様変更は追加費用が発生する」ことが多いですが、アジャイルはその点で柔軟です。

2. 早い段階で動くものを確認できる

アジャイル開発では、各スプリントの終わりに動くプロダクトができあがります。完成を待たずに実際の動きを確認できるため、「思っていたのと違う」というミスマッチを早期に発見できます。

「最後になって全然イメージと違った」という事態を防げるのは、発注者にとって大きなメリットです。

3. ビジネス価値の高い機能を優先して作れる

アジャイル開発では、機能の優先順位を発注者が決められます。まず重要な機能から作り始めることで、リリースまでの期間を短くしたり、最低限の機能でスタートして市場の反応を見たりすることができます。

4. コミュニケーションが密になる

アジャイル開発では、発注者と開発チームが定期的に話し合いながら進めます。週1回の進捗確認、スプリントレビューなど、顔を合わせる機会が多いため、認識のズレが起きにくくなります。


アジャイル開発のデメリットと注意点

メリットが多いアジャイル開発ですが、注意しておくべき点もあります。

1. 発注者の関与が必要

アジャイル開発では、発注者が定期的にフィードバックや意思決定を行う必要があります。「お任せで」というスタイルには向いていません。担当者がプロジェクトに時間を割けない場合は、ウォーターフォールの方が向いているケースもあります。

2. 最終的な費用が読みにくい場合がある

スプリントを重ねながら進める性質上、最初から全体費用を確定させにくいことがあります。「だいたいこれくらい」という目安は出せますが、仕様変更が多いと想定外のコストが発生する可能性も。事前に予算の上限や変更ルールを契約で明確にしておくことが大切です。

3. ドキュメントが不十分になりがち

スピードを重視するアジャイル開発では、仕様書などのドキュメント作成が後回しになることがあります。引き継ぎや長期メンテナンスを考えると、ドキュメントをきちんと残してもらうよう最初に依頼しておくと安心です。


こんなプロジェクトにアジャイルが向いている

アジャイル開発が特に向いているのは、次のようなプロジェクトです。

  • スタートアップのサービス開発: まだ仕様が固まっていない段階から始めたい場合
  • ユーザーの反応を見ながら改善したい場合: MVP(最小限の機能)でリリースして、実際の利用データをもとに改善するスタイル
  • 機能追加・改修が多いWebサービス: 継続的に機能を追加していくサービスに向いている
  • デジタルマーケティングツールの開発: トレンドが変わりやすく、柔軟な対応が求められる場合

一方、「仕様が最初から明確」「大規模なシステム構築」「役所や大企業などで変更手続きが複雑」といった場合はウォーターフォールの方が向いていることもあります。


発注者として押さえておくべきポイント

アジャイル開発でプロジェクトを進める際、発注者として意識しておくべきことをまとめます。

1. プロダクトオーナーを決める
開発チームとのやり取りを担当し、優先順位を決める担当者を社内で決めておきましょう。この役割が曖昧だとプロジェクトがスムーズに進まないことがあります。

2. 週1回程度は時間を確保する
スプリントレビューや進捗確認のための時間を定期的に作りましょう。発注者が積極的に関わることで、完成品の品質が上がります。

3. 最初にゴールとMVPを明確にする
「最終的に何を達成したいか」「まず最低限何があればリリースできるか」を最初に決めておくと、スプリントの優先順位が立てやすくなります。

4. 変更ルールを事前に確認する
仕様変更の範囲やそれに伴うコストの考え方を、契約段階で明確にしておきましょう。


まとめ

アジャイル開発は、変化に強く、発注者と開発チームが協力しながらプロダクトを育てていく開発手法です。「最初から全部決めて作る」より「作りながら柔軟に改善する」ことを重視するため、変化が激しいビジネス環境において特に力を発揮します。

ただし、発注者側の積極的な関与が必要で、ドキュメント整備や費用管理にも注意が必要です。アジャイルかウォーターフォールかを選ぶ際は、プロジェクトの性質や社内リソースを考慮した上で判断しましょう。

Web制作・Webマーケティングの発注を検討している方は、制作会社に「どの開発手法で進めるか」を最初に確認してみてください。開発手法の選択が、プロジェクトの成否を大きく左右することもあります。


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