ウォーターフォール開発とは?アジャイルとの違いと発注時の進め方

Webサイトやシステムを作るとき、「どうやって開発を進めるか」という方法論のことを開発手法と呼びます。その中でも長い歴史を持ち、いまも多くの現場で使われているのがウォーターフォール開発です。

名前の由来は「滝(ウォーターフォール)」。水が上から下へと流れるように、工程を一段ずつ順番に進めていく開発スタイルです。

「Webサイトを発注したいけど、どんな流れで作られるの?」という疑問を持つ方に向けて、ウォーターフォール開発の基本的な考え方から、メリット・デメリット、アジャイル開発との違い、発注者として意識しておきたいポイントまでわかりやすく解説します。

ウォーターフォール開発の基本的な流れ

ウォーターフォール開発は、以下の工程を順番に・一方向に進めていくのが基本です。

1. 要件定義

「何を作るか」を決める最初のフェーズです。クライアント(発注者)と制作会社が打ち合わせを重ね、サイトの目的・必要な機能・デザインの方向性・予算・納期などを明確にします。ここで決めたことが、その後のすべての工程の土台になります。

2. 設計

要件定義で決まった内容をもとに、具体的な設計を行います。ワイヤーフレーム(画面の骨格図)の作成や、サイト構造・データベース設計・システム仕様書の作成などが含まれます。

3. 開発・実装

設計書に沿って、実際にコーディングや実装を行うフェーズです。フロントエンド(見た目・ユーザーが触る部分)とバックエンド(サーバー・データベースなど裏側の仕組み)の両方を組み上げます。

4. テスト・検証

完成したプロダクトが仕様書通りに動作するかを確認するフェーズです。機能テスト・ブラウザ動作確認・ページスピードチェックなど、品質を担保するための検証を行います。

5. リリース・納品

テストをクリアしたら、本番環境へ移行して公開します。その後の保守・運用サポートを別途契約するケースも多いです。


この流れが「水が上から下へ流れる滝」に似ていることから「ウォーターフォール」と呼ばれています。原則として前の工程が完了してから次の工程に進むため、後戻りが難しい構造です。

ウォーターフォール開発のメリット

ウォーターフォール開発が長く使われ続けているのには、理由があります。

工程と役割が明確で管理しやすい

各フェーズのゴールがはっきりしているため、「今どの段階か」「何が完了していて何が残っているか」を把握しやすいです。プロジェクトマネジメントの視点から見ると、進捗管理がしやすく、チームが大きくなっても分業しやすいというメリットがあります。

スケジュールと予算が立てやすい

要件定義でスコープ(作業範囲)を固めてから開発に入るため、工数を見積もりやすく、納期と予算の計画が立てやすいです。「いつ・いくらで・何が完成するか」が事前に見えやすいのは、発注者にとっても安心感につながります。

ドキュメントが整備されやすい

各フェーズで仕様書・設計書・テスト仕様書などのドキュメントが作成されるため、引き継ぎや将来の改修のときに参照しやすい状態が整います。

大規模・長期プロジェクトに向いている

メンバーが多く、関係者が多い大型案件ほど、しっかりした設計と管理が必要です。ウォーターフォール開発の「先に全部決めてから動く」スタイルは、多人数・多工程のプロジェクトで力を発揮します。

ウォーターフォール開発のデメリットと注意点

一方で、ウォーターフォール開発には向き・不向きもあります。発注者として事前に知っておくと安心です。

途中変更が難しい

設計フェーズで決めた仕様は、開発に入ってから変更しようとすると大きなコストがかかります。「やっぱりこの機能を変えたい」「デザインをもう少し修正したい」といった要望が後から出ると、最悪の場合、前の工程からやり直しになることも。

発注者として大切なのは「要件定義の段階でしっかり要望を伝えること」です。

リリースまで動くものが見られない

開発中はなかなか実物を確認できないため、「完成イメージと違った」というギャップが生じやすいです。途中のフィードバックが少ないぶん、最終的なすり合わせに時間がかかることもあります。

変化への対応が遅い

ビジネスの方向性が変わった、競合の動きに合わせて機能を追加したい、といった場合に柔軟に対応しにくいです。特にスタートアップや新規事業など「走りながら改善したい」ケースには向きません。

アジャイル開発との違い

ウォーターフォール開発とよく比較されるのがアジャイル開発です。

比較項目 ウォーターフォール開発 アジャイル開発
進め方 工程を順番に完結させる 短いサイクルで繰り返す
仕様変更 難しい(コスト大) 柔軟に対応できる
リリースタイミング 全工程終了後 機能単位で随時リリース
向いているプロジェクト 要件が明確・大規模案件 要件が変わりやすい・スピード重視
ドキュメント 充実しやすい 最小限になりやすい
コスト見積もり 立てやすい 難しい場合がある

アジャイル開発は「スプリント」と呼ばれる短期間(1〜2週間)を繰り返しながら、ユーザーのフィードバックを取り入れつつ機能を積み上げていく手法です。柔軟性が高い反面、全体のスコープやコストが見えにくくなることもあります。

シンシエイトでのコーポレートサイトやLPの制作では、ウォーターフォール型の工程管理を基本としながら、お客様のフィードバックを取り入れやすい形で進めています。

発注者が知っておきたい、ウォーターフォール開発での進め方のコツ

ウォーターフォール開発で発注する場合、発注者側の動き方が品質とスムーズな進行に直結します。

要件定義を丁寧に行う

「なんとなくこんなサイトが欲しい」という状態で開発がスタートすると、後から大きな修正が発生しやすいです。目的・ターゲットユーザー・必要な機能・デザインの好みなどを事前に整理しておくと、要件定義がスムーズになります。

参考:ペルソナカスタマージャーニーを活用して、ユーザー像や動線を整理するのも有効です。

仕様確定後の変更はコストがかかると理解する

要件定義や設計の内容を承認したあとは、変更が生じると追加費用・納期延長につながることがあります。「決めたことは守る」という意識を持ちながら、不明点は確定前に質問・確認しておくことが大切です。

レビュータイミングを活かす

ウォーターフォールでも、ワイヤーフレームのレビュー・デザインカンプの確認・テスト環境での動作確認など、各工程の区切りでレビューの機会があります。このタイミングで積極的にフィードバックすることで、完成後のギャップを減らせます。

保守・運用フェーズも見据えておく

リリース後の更新作業・SEO対策・アクセス解析の体制についても、制作開始前から話し合っておくと後々スムーズです。

ウォーターフォール開発が向いているケース・向かないケース

向いているケース

  • 要件が明確に決まっている:機能・デザイン・目的がはっきりしているコーポレートサイト、採用サイト、LP(ランディングページ)など
  • 大規模な案件:多くの関係者が関わり、しっかりした管理が必要なプロジェクト
  • 予算・納期が決まっている:決算期に合わせたリリースなど、スケジュールが優先される場合
  • 実績・信頼性が重要:金融・医療・行政など、品質と正確さが求められる分野

向かないケース

  • 要件が固まっていない:「作りながら決めたい」「市場の反応を見て変えたい」というケース
  • スタートアップ・新規事業:ビジネスモデルが変化しやすく、素早い改善が求められる
  • 機能を段階的に追加したいCMSECなど、機能を少しずつ積み上げていくプロダクト

ウォーターフォール開発は「古い手法だからダメ」ということは全くありません。要件が明確で、品質と計画性を重視するプロジェクトでは、いまでも非常に有効な開発手法です。

重要なのは、プロジェクトの性質・目的・チームの状況に合わせて、最適な手法を選ぶこと。制作会社に依頼する際は「どういう進め方をするのか」「変更が生じた場合はどう対応するか」を事前に確認しておくと、認識のズレを防げます。

まとめ:ウォーターフォール開発を理解して、発注をスムーズに

ウォーターフォール開発は、要件定義→設計→開発→テスト→リリースを順番に進める、計画性の高い開発手法です。

  • 工程が明確で管理しやすく、スケジュール・予算が立てやすい
  • 途中変更が難しいため、要件定義の段階で要望をしっかり伝えることが重要
  • アジャイル開発とは対照的な手法で、プロジェクトの性質によって使い分けが必要

Web制作を発注する際には、制作会社がどの開発手法を採用しているかを確認し、自社の状況に合った進め方を選ぶことが成功への近道です。


関連用語

  • フロントエンド — ユーザーが直接見る・触る部分の実装
  • バックエンド — サーバー・データベースなど、裏側の仕組み
  • CMS — コンテンツ管理システム。WordPressなどが代表例
  • ワイヤーフレーム — 画面の骨格図。設計フェーズで作成される
  • UI — ユーザーインターフェース。見た目・操作性のデザイン
  • UX — ユーザーエクスペリエンス。使った際の体験・感覚全体

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