アクセス解析とは?発注者が最初に知っておくべき基礎知識

アクセス解析とは何か、まずざっくり理解しよう

アクセス解析とは、自社のウェブサイトに「誰が・どこから・どんな行動をとったか」をデータで把握する取り組みのことです。

たとえば、こんな情報がわかります。

  • 今日何人がサイトを訪問したか
  • どんなキーワードで検索して来たか
  • どのページが一番よく読まれているか
  • 問い合わせページまで来たのに、なぜか途中で帰ってしまった人はどのくらいいるか

こうしたデータを見ることで、「サイトの何を改善すれば問い合わせが増えるか」を判断する材料が得られます。

感覚や勘でサイトを改善するより、データに基づいて動いた方が効率はぐっと上がります。アクセス解析は、そのための基盤づくりと言ってもいいでしょう。


アクセス解析は、専門家だけが使うものではありません。今は無料のツールが充実しており、Webに詳しくない方でも始めやすい環境が整っています。「なんとなく取り入れてみたけど、見方がわからない」という方も多いのですが、まず「何を知りたいか」を決めるだけで、使い方はぐっとシンプルになります。

アクセス解析でわかること

アクセス解析では、大きく分けると4つの側面のデータが取れます。

ユーザーの基本属性

サイトを訪れた人がどんな人なのかを把握できます。

  • 年齢層・性別
  • 住んでいる地域
  • 使っているデバイス(スマートフォン・PC・タブレット)
  • 新規訪問者かリピーターか

たとえば「スマートフォンからの訪問が8割なのに、サイトがPC向けのデザインのまま」という問題に気づくきっかけになります。

流入経路

ユーザーがどこからやってきたかがわかります。

  • Google・Yahoo!などの検索エンジン(オーガニック検索)
  • リスティング広告などの有料広告
  • SNS(Instagram・X・Facebookなど)
  • 他サイトからのリンク(参照元サイト)
  • URLを直接入力またはお気に入りからのアクセス(ダイレクト)

「広告に費用をかけているのに、SEOからの流入もある」「SNS投稿の反応が数字に出ている」など、施策の手応えを確かめるためにも流入経路は重要な情報です。

サイト内での行動

ユーザーがサイトの中でどう動いたかを追えます。

  • どのページを見たか
  • どのページから入ってきたか(ランディングページ)
  • どのページで帰ってしまったか(離脱ページ)
  • 複数ページを回遊したか、それとも1ページだけで帰ったか

「トップページはたくさん見られているのに、サービスページへの移動が少ない」なら、導線設計を見直す必要があると判断できます。

コンバージョンに関するデータ

サイトの最終目的(問い合わせ・購入・資料請求など)が達成されているかを確認できます。

  • コンバージョン数(成果件数)
  • コンバージョン率(訪問者のうち何%が成果に至ったか)
  • どの流入経路からの問い合わせが多いか
  • フォームの途中で離脱したユーザーはどのくらいいるか

「広告からの流入は多いのに、コンバージョン率が低い」という場合、広告文とページの内容がズレている可能性があります。

主要な専門用語をおさえよう

アクセス解析を使い始めると、最初に目に入る指標があります。難しく聞こえますが、意味を知ればシンプルです。

セッション

ユーザーがサイトを訪問してから離脱するまでの1まとまりのアクセスのことです。同じ人が朝と夜に2回訪問すれば、2セッションとカウントされます。「延べ訪問回数」に近いイメージです。

ユーザー数(UU)

重複を除いたサイト訪問者の実人数のことです。同じ人が何度来ても1人です。セッション数と合わせて見ることで、「新しい人を呼べているか・リピートされているか」がわかります。

ページビュー数(PV)

ページが閲覧された合計回数です。1人が5ページ見れば5PVとカウントされます。PVが多いページはユーザーに人気があるページと言えます。

直帰率

サイトに来て、1ページだけ見てそのまま帰ってしまった割合のことです。直帰率が高いページは「求めていた情報がなかった」「読む気になれなかった」と判断された可能性があります。

離脱率

あるページを最後に見てサイトを去ったユーザーの割合です。「このページで帰ってしまった人の比率」を示します。

直帰率との違いを混同しやすいのですが、直帰率は「1ページしか見なかった」割合で、離脱率は「このページが最後のページだった」割合です。問い合わせフォームの直前ページの離脱率が高い場合、そのページの内容や導線に問題がある可能性が高いです。

コンバージョン率(CVR)

サイト訪問者のうち、問い合わせや購入などの成果に至った割合のことです。100人来て2人が問い合わせてくれれば、CVR2%です。広告の効果や、ページ改善の前後比較に使います。

平均滞在時間

ユーザーがサイトやページに滞在した平均時間です。長ければ「じっくり読んでくれている」と言えますが、コンテンツの性質によっても異なるので、単純に長ければいいとも言い切れません。

アクセス解析を行う目的

アクセス解析はデータを眺めること自体が目的ではありません。あくまで「サイトをよくするための意思決定」に使うものです。具体的な目的は主に3つです。

現状を正確に把握する

「なんとなくアクセスが少ない気がする」ではなく、「今月のユーザー数は先月比で20%減少している」と数字で現状を把握することができます。感覚ではなくデータで状況を確認できるのが最大のメリットです。

課題を見つける

どのページで離脱が多いか、どの流入経路の質が低いかなど、「改善すべきポイント」を特定できます。全ページを一律に改善しようとするより、データで絞り込んだ方が効率的です。

施策の効果を検証する

「ページを改善したら問い合わせが増えたか」「SNS投稿の結果、流入は増えたか」など、やってみた施策の結果を数字で確認できます。PDCAを回すうえで欠かせない作業です。

アクセス解析ツールの種類

アクセス解析ツールは、仕組みによって3種類に分類されます。

Webビーコン型(JavaScriptタグ型)

ページにJavaScriptのコードを埋め込んで計測する方式です。現在もっとも普及している方法で、Google Analytics 4(GA4)がこのタイプです。導入が比較的簡単で、リアルタイムのデータが取れるのが特徴です。

サーバーログ型

ウェブサーバーに記録されているアクセスログを解析する方式です。JavaScriptが無効なブラウザでも計測でき、より正確なクローラー(検索エンジンのロボット)の訪問も記録されます。一方で、ユーザーの行動データはWebビーコン型より取りにくい場合があります。

パケットキャプチャリング型

ネットワーク上を流れるデータを監視・収集する方式です。詳細なデータが取れる一方、専門的な知識とインフラが必要になります。中小企業の一般的な用途では、Webビーコン型で十分なケースがほとんどです。

無料で使える主要ツール

アクセス解析を始めるにあたって、まず知っておくべき無料ツールが2つあります。

Google Analytics 4(GA4)

Googleが提供する無料のアクセス解析ツールです。先に紹介した指標(ユーザー数・セッション・PV・CVR・流入経路など)のほぼすべてを無料で確認できます。

ページにGoogleが発行する「計測タグ」を設置するだけで使い始められます。WordPressであれば、プラグインや管理画面から比較的かんたんに導入できます。

データが充実している一方で、画面構成が複雑と感じる方も多いため、最初は「レポート」タブにある基本的な指標から眺めてみると、負担が少なくて済みます。

Google Search Console

同じくGoogleが無料で提供するツールです。GA4とは役割が異なり、「検索エンジンからの見え方」に特化しています。

  • どんなキーワードで検索されて表示されたか
  • 表示された回数のうち、クリックされた割合(CTR)はどのくらいか
  • Googleにサイトが正しく認識されているか

SEO対策の効果を確認するために必須のツールです。GA4と合わせて使うと、「どのキーワードで来た人が問い合わせに至ったか」まで追えるようになります。

アクセス解析の基本的な流れ

「どうやって使えばいいかわからない」という方向けに、実際の進め方を整理します。

目標を決める

まず「サイトで何を達成したいか」を明確にしてください。問い合わせを増やしたいのか、特定のページの閲覧数を増やしたいのかによって、見るべき指標が変わります。数字の目標(例:月間問い合わせ10件)があると、現状とのギャップが把握しやすくなります。

現状を把握する

ツールを見て、今どんな状態かを確認します。「どの流入経路が多いか」「どのページが一番見られているか」「コンバージョン率はどのくらいか」など、全体の基本数値を把握します。

仮説を立てる

データを見ながら「なぜこうなっているか」「ここを変えたらどうなるか」を考えます。たとえば「特定のページだけ離脱率が高い → コンテンツが求めているものと違うのかもしれない」という仮説が立てられれば、改善の方向性が見えてきます。

施策を実施する

仮説に基づいてページを修正したり、新しいコンテンツを追加したりします。複数の施策を同時に進めると、どれが効いたかわからなくなるため、できれば1つずつ取り組むのがおすすめです。

効果を検証する

施策を実施した後、数字がどう変化したかを確認します。改善したなら継続・深掘りし、変化がなければ別の仮説を立て直します。このサイクルを繰り返すことが、サイト改善の基本です。

アクセス解析を活用する際の注意点

いくつか知っておくと助かる注意点があります。

短期のデータで判断しない

アクセスは季節・曜日・イベントによって大きく変動します。「先週アクセスが増えた」という1週間のデータだけで「施策が効いた」と判断するのは危険です。最低でも1か月、できれば前年同月との比較ができるとベストです。

自社からのアクセスを除外する

社内スタッフや制作会社が確認のためにサイトを閲覧するアクセスは、できれば除外設定をしておきたいところです。計測データに社内アクセスが混ざると、実際のユーザー数が正確に把握できなくなります。IPアドレスでのフィルタリングが一般的な対処方法です。

数字だけでなくユーザーの気持ちを想像する

「直帰率が高い」という数字は事実ですが、なぜ高いかは数字だけではわかりません。「検索意図とページの内容がずれている」「読み込みが遅い」「情報が古い」など、様々な理由が考えられます。数字を入口に、ユーザーの立場で考えることが改善につながります。

継続的に見ることが大切

月1回でも定期的にデータを確認する習慣ができると、変化に気づきやすくなります。最初からすべての指標を見ようとするより、「毎月ユーザー数とCVRだけは確認する」という絞り込みの方が続きやすいでしょう。

プライバシーへの配慮を忘れない

アクセス解析では個人を特定できる情報は取得しませんが、GDPRなどのデータプライバシー規制に対応したツールの設定を適切に行うことが求められます。プライバシーポリシーへの記載も必要です。

当社での取り組みについて

当社シンシエイトでは、クライアントのサイト制作・運用において、GA4とGoogle Search Consoleの導入を標準で対応しています。

ただ「入れただけ」では意味がないため、月次レポートや定期MTGを通じてデータを一緒に確認し、次の施策に繋げる動きをとっています。数字の読み方から改善の優先度付けまで、担当者が「自分でも判断できる」状態になることを目指しています。

一方で、アクセス解析のデータを見て「ではこの施策を打とう」という意思決定までを素早く回せているかというと、まだまだ改善の余地があるのが正直なところです。データを見る頻度・スピード感・分析の深さについては、継続して取り組みを強化しています。

アクセス解析は「判断材料」として使うもの

アクセス解析を難しく考えすぎる必要はありません。大切なのは「何のためにデータを見るか」です。

問い合わせが少ないと感じているなら、まずどのページで離脱が起きているかを見る。広告費に見合った効果が出ているか確かめたいなら、流入経路とCVRを比べる。そういった「目的ありき」で使うと、データは手ごたえのある情報になります。

「何から手をつければいいかわからない」という方は、まずGA4を導入して1か月分のデータを蓄積することから始めてみてください。見るべき数字が少しずつ見えてきます。

関連用語

  • GA4 — Googleが無料で提供するアクセス解析ツール。アクセス解析の実務ではほぼ必須のツール
  • サーチコンソール — 検索エンジンからの流入データを確認できるGoogleの無料ツール。GA4とセットで使うのが基本
  • CV(コンバージョン) — 問い合わせや購入など、サイトの目標となるアクション。アクセス解析で達成状況を確認する
  • 直帰率 — 1ページだけ見て帰ったユーザーの割合。アクセス解析で改善の優先度を判断する際の目安になる
  • KPI — 目標達成までの中間指標。アクセス解析で追う数値はKPIとして設定しておくと管理しやすい

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