KPIとは何か、なぜ必要かをわかりやすく解説

KPIって何?「途中経過を測る指標」をやさしく解説

「KPIを設定してください」と言われたけれど、何をどう決めればいいのかわからない。そんなお悩みは、Web制作やマーケティングを外注している企業の担当者・経営者の方からよく聞きます。

KPIは難しいフレームワークではありません。「目標に向かって、今ちゃんと進んでいるか確認するための中間指標」です。この記事では、KPIの意味から設定手順・具体例・よくある失敗まで、専門知識ゼロの方でもわかるようにまとめました。


KPIとは「Key Performance Indicator」の略

KPIとは、Key Performance Indicator(キー パフォーマンス インジケーター)の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。

一言でいえば、「最終目標に向かってどれだけ進んでいるかを測る中間的な数値目標」です。

たとえば、「今期の売上を1,000万円にする」という最終目標があったとします。この最終目標をKGI(後述)といいますが、その目標を達成するためにどんな行動をどれだけこなせばよいかを数値化したものがKPIです。

「毎月のサイトへの問い合わせ数を10件以上にする」「資料請求ページのCVRを3%以上にする」といった形で設定します。

KPIが注目される理由

KPIが広く使われる理由は、「結果が出てから気づく」ことへの反省からです。

売上が落ちてから「なぜ落ちたのか」を追うのは後手対応になります。KPIがあれば、「問い合わせ数が減ってきた」「CVRが下がっている」と手前の段階で異常を察知できます。経営や施策の判断が早くなり、手が打てる状態を保てるのです。


KGI・KSFとKPIの違い

KPIをきちんと理解するためには、一緒に語られる「KGI」と「KSF」も押さえておく必要があります。

KGIとは

KGI(Key Goal Indicator / 重要目標達成指標)は、最終的に達成したいゴールのことです。

  • 例:「今期の売上を1,500万円にする」
  • 例:「新規顧客を30社獲得する」

KGIはゴールそのもので、通常は1〜2個に絞ります。KGIを達成するための途中経過を測る指標が、KPIです。

KSFとは

KSF(Key Success Factor / 重要成功要因)は、KGIを達成するためのカギとなる要因のことです。「何に力を入れれば目標に近づけるか」を特定するための概念です。

  • 例:KGI「売上1,500万円」に対するKSF → 「新規顧客の獲得」「既存顧客のリピート促進」

KSFが明確になることで、「じゃあ具体的に何を測ろうか?」というKPI選定につながります。

3つの関係性を整理すると

指標 意味
KGI 最終目標 今期売上1,500万円
KSF 達成のカギ 新規顧客の獲得強化
KPI 中間指標 月10件の問い合わせ獲得

KGI → KSF → KPI の順に「大きな目標」から「日々確認できる数値」へと落とし込んでいくイメージです。


KPIを設定するメリット

KPIをきちんと設定すると、組織にとって次のようなメリットがあります。

進むべき方向が全員に共通する

「売上を上げよう」という大きな目標だけでは、人によって「何をすれば良いか」の解釈がバラバラになります。KPIとして「月10件の問い合わせを獲得する」と数値で決まっていれば、担当者全員が同じゴールを向けます。

ボトルネックを早く発見できる

プロセスごとにKPIを設定しておくと、「どこで詰まっているか」が見えやすくなります。問い合わせ数は足りているのに成約率が低い場合は、営業の課題だとわかります。サイトのアクセス数は多いのに問い合わせが少ない場合は、LPやCTAの改善が必要だと気づけます。

客観的な評価ができる

感覚や印象ではなく、数値で成果を判断できるようになります。メンバーの評価や施策の継続・廃止の判断も、根拠ある形でできるようになります。

PDCAが回しやすくなる

KPIがあると「計画 → 実行 → 測定 → 改善」のサイクルが明確になります。何を確認して、どう改善すればよいかの判断軸が揃うため、PDCAが空回りしにくくなります。


KPIの設定手順

KPIは「なんとなく重要そうな数値」を選ぶのではなく、KGIから逆算して決めるのが基本です。以下の3ステップで設定してみてください。

ステップ1:KGI(最終目標)を決める

まず、何を最終的に達成したいかを明確にします。

  • 「今期の売上を〇〇円にする」
  • 「問い合わせ件数を年間〇件にする」
  • 「リピート顧客の割合を〇%にする」

KGIは具体的な数値で設定できると、次のステップに進みやすくなります。

ステップ2:KSFを洗い出す

次に、「KGIを達成するために何が必要か」を分解します。

たとえばKGI「年間問い合わせ100件」に対して考えると、
– サイトへのアクセスを増やす
– 問い合わせページへの誘導率を上げる
– 問い合わせフォームの離脱を減らす

という要因が浮かびます。これがKSFです。

ステップ3:各KSFを数値のKPIに落とし込む

KSFを「測れる数字」にしたものがKPIです。

  • 「サイトへのアクセスを増やす」 → 月間セッション数を〇〇以上
  • 「問い合わせページへの誘導率を上げる」 → CTA経由のクリック率を〇%以上
  • 「フォームの離脱を減らす」 → フォーム完了率を〇%以上

それぞれの数値が達成されれば、KGIに近づく構造になっているかを確認することが大切です。


KPIツリーとは

KGIから各KPIへの関係を図式化したものを「KPIツリー」と呼びます。

ツリー構造にすることで、「どのKPIが最終目標に影響しているか」が視覚的に確認できます。施策の優先順位づけや、問題の所在を特定するときに非常に役立ちます。

たとえばWebサイトで問い合わせを増やしたい場合のKPIツリーは次のようになります。

KGI:月間問い合わせ件数を20件にする
│
├─ セッション数を月3,000以上にする(流入改善)
│   ├─ オーガニック検索からの流入を月1,500以上
│   └─ SNSや広告からの流入を月1,500以上
│
├─ 問い合わせページへの遷移率を15%以上にする(導線改善)
│   ├─ CTAのクリック率を改善
│   └─ ファーストビューの訴求強化
│
└─ フォーム完了率を40%以上にする(フォーム改善)
    ├─ 入力項目の削減
    └─ エラーメッセージの改善

このように分解することで、担当者それぞれが自分の役割を持てる形になります。


部門・施策別のKPI具体例

KPIはビジネスの目的や部門によって異なります。参考として、よく使われる指標をご紹介します。

Webサイト(集客・問い合わせ)

施策 KPIの例
SEO対策 月間オーガニックセッション数、検索順位の推移
コンテンツマーケティング 月間記事公開本数、自然検索流入数
LP改善 CVR(コンバージョン率)、フォーム完了率
サイト全体 月間問い合わせ件数、資料請求数

マーケティング全般

施策 KPIの例
リスティング広告 CPA(1件あたりの獲得コスト)、CTR(クリック率)
SNS運用 フォロワー数の増加、エンゲージメント率
メールマーケティング 開封率、クリック率、CV数
展示会・セミナー リード獲得数、商談化率

営業・セールス

施策 KPIの例
インサイドセールス 月間架電数、商談設定率
フィールドセールス 月間商談数、成約率、平均受注単価
既存顧客フォロー リピート率、アップセル率

当社では、Webマーケティングを支援するクライアントに対して、各施策のKPIをあらかじめ設計してから施策に入るようにしています。「何のために何をするか」が明確になると、施策の効果検証も格段にしやすくなるためです。


SMARTの法則で良いKPIを設定する

KPIを設定するときに活用したいフレームワークが「SMARTの法則」です。以下の5つの頭文字から成ります。

文字 意味 チェックポイント
S Specific(具体的) 何を測るか明確になっているか
M Measurable(測定可能) 数値で計測できるか
A Achievable(達成可能) 現実的な目標値か
R Relevant(関連性がある) KGIに直結しているか
T Time-bound(期限がある) 「いつまでに」が決まっているか

「問い合わせを増やす」というKPIはSMARTではありません。「3ヶ月以内に月間問い合わせ数を現状の8件から15件にする」であればSMARTになります。

KPIを設定したら、このチェックリストで確認してみると良いと思います。


KPIとOKRの違い

OKRという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。

OKR(Objectives and Key Results)は、Google・Facebookなど大手IT企業が採用している目標管理フレームワークです。「Objective(目標)」と「Key Results(主要な成果)」を組み合わせます。

KPIとOKRの主な違いは次の通りです。

項目 KPI OKR
目的 目標達成の進捗管理 組織の方向性を揃える・挑戦的な目標設定
達成率の目安 100%達成を目指す 60〜70%達成で「良い」とする設計
更新頻度 月次・四半期 四半期・月次
活用シーン 業務プロセスの管理 組織のビジョン共有・挑戦的目標

OKRは「高い目標を掲げて組織を引っ張る」という側面が強く、KPIは「今の進捗を正確に測る」という側面が強いです。どちらが正しいというものではなく、使い分けや組み合わせで活用している企業も多くあります。


KPI設定でよくある失敗パターン

KPIを設定してみたものの、うまく機能しないケースにはいくつかの共通パターンがあります。

指標を詰め込みすぎて管理しきれない

あれもこれもと指標を増やしすぎると、毎回の確認が煩雑になり、結局誰も見なくなります。KPIは本当に重要なものに絞るのがベストです。各施策で3〜5個以内を目安にできると管理しやすくなります。

現場がコントロールできない指標を設定してしまう

たとえば「Googleの検索順位を1位にする」は、外部要因(Googleのアルゴリズム)が絡むため、担当者の努力だけでは直接コントロールできません。「月に〇本の記事を公開する」「内部リンクの最適化を〇ページ実施する」など、自分たちが行動を起こせる指標を選ぶ方が運用しやすくなります。

KGIと因果関係が薄い指標を選んでしまう

KGI「売上を増やす」なのに、KPIが「SNSのフォロワー数」だけでは、因果関係が不明確です。フォロワーが増えても売上に直結しない可能性があります。KGIから逆算して「この数値が伸びれば本当に売上につながるか」を確認してから設定できるとベストです。

一度決めたら見直さない

事業環境や施策の内容は変化します。以前は正しかったKPIが、今は意味をなさないケースもあります。定期的に「このKPIはまだ意味があるか」を確認し、必要に応じて更新する習慣を持てると良いと思います。


KPIの確認・管理をどうするか

KPIを設定したら、定期的に確認・振り返りを行う仕組みが必要です。

確認頻度は「施策のサイクル」に合わせる

  • Web広告や施策の数値:週次確認
  • SEOや中長期施策:月次確認
  • 事業全体のKGI達成度:四半期確認

頻度が高すぎると数値の「ぶれ」に振り回され、低すぎると異常に気づくのが遅れます。施策の性質に応じて適切な頻度を設定することが大切です。

ツールを活用する

数値管理にはGA4(Googleアナリティクス)やSearch Console、広告管理ツールなどを活用します。エクセルやGoogleスプレッドシートにまとめて可視化するシンプルな方法も、初期段階では十分機能します。

ツールが複雑になりすぎると管理コストが増えるため、「見やすく・続けやすい」形を優先できると長続きします。


まとめ

KPIは、最終目標(KGI)に向かうプロセスを「見える化」するための中間指標です。KGIから逆算してKSFを洗い出し、それを数値に落とし込む3ステップで設定できます。

KPIを持つことで、進捗が把握しやすくなり、問題の発見と改善が早くなります。設定の際は「SMARTの法則」で確認し、指標の数を絞ることで運用負荷を抑えられます。

Webサイト・SEO・広告などの施策を外注している場合も、どんなKPIを目標にしているかをパートナー企業と共有しておくことで、施策の方向性がぶれにくくなります。シンシエイトでも、支援開始時にKPIをあわせて設計するようにしています。

KPIについてご不明な点や、自社の場合はどう設定すれば良いかお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


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