KGIとは何か、まずは基本から押さえましょう
KGIとは、Key Goal Indicator(キーゴールインジケーター)の略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。
一言で表すなら、「ビジネスの最終ゴールを数値で表したもの」です。
「年間売上1億円を達成する」「会員数を1,000人まで増やす」「新規問い合わせ数を月30件にする」。こうした、事業として最終的に目指したい目標を具体的な数字に落とし込んだものが、KGIです。
KGIがなければ、日々の施策が「どのゴールに向かって進んでいるのか」が見えなくなります。逆にKGIがあることで、施策の優先順位を判断したり、進捗を定期的に確認したりすることができるようになります。
Webマーケティングにおいても、サイトのリニューアルやSEO対策・広告運用を依頼するとき、「何を最終的な目標にするのか」を明確にすることが非常に重要です。それがKGIです。
KGIとKPIの違い
KGIと一緒によく出てくる言葉が、KPI(Key Performance Indicator)です。
それぞれの関係を整理すると、こうなります。
| 指標 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| KGI | 最終ゴール | 年間売上1億円 |
| KPI | ゴールに向かう途中の指標 | 月間問い合わせ数 / 月間サイト訪問者数 |
KGIは「山の頂上」で、KPIは「頂上に向かうための中間チェックポイント」と考えるとわかりやすいです。
たとえば「年間売上1億円」をKGIとして設定したとします。そのためには毎月いくつの問い合わせが必要か、サイトに何人訪問してもらう必要があるか。それらを逆算して設定するのがKPIです。
よくある誤解として、KPIをいくつも設定して管理するだけで満足してしまうケースがあります。しかし、KGIという最終ゴールがなければ、KPIは「何のために測っているのかわからない数字」になってしまいます。KGIを決めてから、KPIを設定するという順番が大切です。
KGI・KPI・KSF・OKRの関係
KGIに関連する指標として、KSFとOKRも紹介しておきます。
KSFとは
KSF(Key Success Factor)は「重要成功要因」と訳されます。KGIを達成するために欠かせない要素・条件のことです。
「何をすればKGIに近づけるか」を洗い出す考え方で、KPIを設定する前の段階で活用されます。
たとえば「年間売上1億円」というKGIに対して、KSFとして「優良顧客層へのアプローチを強化する」「リピート率を高める」などが挙がったとします。そのKSFを測定可能な数値に変換したものがKPIです。
OKRとは
OKR(Objectives and Key Results)は、GoogleやFacebookが採用している目標管理の手法です。
「Objective(目標)」と「Key Results(主要な成果)」の2つで構成されており、KGIに近い概念として紹介されることがあります。
KGIとの違いは、OKRは少し意欲的な(ストレッチした)目標を設定することが多い点と、四半期単位で設定・振り返りをする運用スタイルが一般的な点です。KGIはより中長期的な事業目標として設定されることが多いです。
KGIを設定するメリット
KGIを設定することで、いくつかの良い効果が生まれます。
事業の方向性が明確になる
「なんとなくもっと売上を上げたい」という状態から、「今年中に売上を〇〇円まで伸ばす」という状態になることで、施策の選択肢がぐっと絞られます。目標が明確になれば、「この施策はKGI達成に貢献するか?」という基準で判断できるようになります。
チームや外注先と目標を共有できる
KGIが明文化されていると、Webマーケティングの支援会社や制作会社と「このKGIに向けて何をすべきか」を同じ目線で議論できるようになります。単に「サイトをリニューアルしてほしい」ではなく、「年間〇件の問い合わせを目標にしているので、そこから逆算して設計してほしい」という依頼ができるようになります。
進捗を定期的に確認できる
KGIが数値で設定されていれば、月次・四半期での振り返りで「どこまで達成できているか」がひと目でわかります。順調なら継続、進捗が遅ければ施策の見直し、という判断がしやすくなります。
KPIの設定がしやすくなる
KGIが決まっていると、「そのKGIを達成するために、どの指標を改善すればよいか」という視点でKPIを考えられます。KGIなしにKPIだけ設定しようとすると、何を測るべきかが曖昧になりがちです。
KGIの設定方法と使えるフレームワーク
KGIを設定するときに役立つのがSMARTの法則です。以下の5つの要素を満たすことで、質の高いKGIを設定できます。
| 要素 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| S | Specific(明確性) | 誰が見ても同じ解釈ができる具体的な表現にする |
| M | Measurable(計量性) | 数値で測定できる目標にする |
| A | Achievable(達成可能性) | 現実的に届きうる水準に設定する |
| R | Relevant(関連性) | 自社の事業方針・戦略と整合している |
| T | Time-bound(期限) | 期限(いつまでに)を必ず設定する |
具体的なKGI設定のステップ
ステップ1: 自社の事業目標を言語化する
まず「この1年で何を達成したいか」を経営視点で整理します。「売上を増やしたい」「新規顧客を増やしたい」「リピート率を高めたい」などが出てくるはずです。
ステップ2: 数値と期限を入れる
「売上を増やしたい」を「今期末(〇月末)までに年間売上を8,000万円にする」のように具体化します。数値と期限がなければKGIとして機能しません。
ステップ3: 達成可能な水準か確認する
設定したKGIが、現在の状況から見て実現可能な範囲かどうかを確認します。前年比50%増のような非現実的な目標は、モチベーション低下につながる場合があります。一方で、現状維持に近い目標では設定の意味が薄れます。過去のデータや市場環境を踏まえて、少し背伸びをする程度の水準がちょうどよいです。
ステップ4: 事業全体の方針と照らし合わせる
KGIは事業の中核となる目標です。経営方針や他の部門の動きと矛盾していないか、確認するとベストです。
部門・業種別のKGI具体例
KGIは業種・部門によって異なります。以下にいくつかの例を挙げます。
営業部門のKGI例
- 年間売上高〇〇円
- 新規受注件数〇〇件
- 年間受注金額〇〇円
マーケティング部門のKGI例
- 年間リード(見込み客)獲得数〇〇件
- Webサイト経由の問い合わせ件数〇〇件/月
- 特定商品の認知率〇〇%
ECサイト運営のKGI例
- 年間売上〇〇円
- 月間購入件数〇〇件
- 顧客単価〇〇円
カスタマーサクセス部門のKGI例
- 解約率〇〇%以下を維持
- 顧客満足度(NPS)〇〇以上
- 契約更新率〇〇%以上
Webサイトリニューアル時のKGI例
Web制作の文脈でよく使われるKGIとしては、次のようなものがあります。
- 月間問い合わせ数〇〇件
- リニューアル後1年以内の売上〇〇%増
- 採用応募数〇〇件/月
「サイトをリニューアルする」こと自体は手段です。「リニューアルすることで、半年後に問い合わせを月10件にする」というKGIを持つことで、どんなデザインにすべきか・どんなコンテンツが必要かを判断する基準が生まれます。
KGIとKPIをつなぐ「KPIツリー」の考え方
KGIを設定したら、次にそのKGIを達成するために必要な要素を分解していきます。これをKPIツリーと呼びます。
たとえば次のように整理できます。
KGI: 年間売上1億円
└ KPI1: 月間問い合わせ数 50件
└ KPI1-1: 月間サイト訪問者数 5,000人
└ KPI1-2: 問い合わせ率 1%
└ KPI2: 受注率 60%
└ KPI3: 平均受注単価 280万円
このように「KGIを達成するために、何をどのくらいこなせばよいか」を因数分解することで、KPIが自然と決まってきます。
KPIツリーの良いところは、どのKPIが弱いのかが一目でわかる点です。「問い合わせ数は増えているのに受注率が低い」なら提案の質に課題がある、「訪問者数が少ない」ならSEOや広告が足りない、といった分析が可能になります。
当社でもクライアントのWebマーケティング支援の際、まずKGIを確認してから逆算してKPIツリーを設計するようにしています。KGIが明確でないまま施策を走らせると、「何のために何をやっているのか」がブレやすくなるからです。
KGI設定でよくある失敗パターン
KGIを設定する際に、陥りやすい失敗をいくつか紹介します。
数値・期限がないKGI
「もっと売上を増やしたい」「認知度を高めたい」は目標ではなく、方向性です。KGIとして機能させるには必ず数値と期限が必要です。
KGIとKPIが逆になっている
「アクセス数を増やす」「フォロワー数を増やす」はKGIではなくKPIです。これらはKGI(売上・問い合わせ・採用)を達成するための手段です。アクセス数が増えても売上が増えなければKGI達成にならない、という視点を忘れないようにするとよいです。
KGIを多く設定しすぎる
KGIはあくまで「最終ゴール」なので、1つか多くても2〜3つに絞るのが望ましいです。KGIが増えすぎると、組織のリソースが分散してどれも中途半端になるリスクがあります。
KGIと現状のギャップが大きすぎる
非現実的に高いKGIを設定すると、チームのモチベーションが低下したり、無理な施策を走らせるきっかけになったりします。現状のデータを確認したうえで、少し背伸びをする程度の設定を目指せるとよいです。
まとめ
KGIは、ビジネスの最終ゴールを数値で表した指標です。
「何のために施策をするのか」を明確にするうえで、KGIは出発点になります。KGIを設定することで、KPIが決まり、KPIをもとに日々の施策の優先順位が見えてきます。
Webマーケティングや制作の文脈でも、KGIを持っているかどうかで依頼の精度が大きく変わります。「月〇件の問い合わせを増やしたい(KGI)」というゴールがあれば、そこから逆算して「何のためにサイトをリニューアルするのか」「どんなコンテンツが必要か」が判断できるようになります。
KGIがまだ明確でないという方は、ぜひ一度「自社として今期達成したい数字は何か」を整理してみることから始めてみてください。
関連用語
- KPI(重要業績評価指標) – KGI達成に向けた途中経過を測る指標
- CVR(コンバージョン率) – サイト訪問者のうち問い合わせ・購入に至った割合
- CV(コンバージョン) – 問い合わせ・購入などサイトの目的達成アクション
- アクセス解析 – サイトへの流入・行動をデータで確認する手法
- カスタマージャーニー – 顧客が認知から購入に至るまでの行動・心理の流れ