SNSやニュースアプリを使っていると、タイムラインや記事一覧の中に自然に溶け込んだ広告を見かけたことはないでしょうか。その広告が「インフィード広告」です。
通常の広告はページの端やバナーエリアに表示されますが、インフィード広告はユーザーが自然に流し見るコンテンツの流れの中に入り込みます。そのため「広告っぽくない」という印象を持たれやすく、クリックされやすいのが大きな特徴です。
この記事では、インフィード広告の仕組みや種類、メリット・デメリット、運用時のポイントまで、発注者・担当者の方にわかりやすく解説します。
インフィード広告とは何か?基本の仕組み
インフィード広告とは、SNSや記事サイト・ニュースアプリなどの「フィード(一覧表示)」の中に、通常のコンテンツと並ぶように表示される広告のことです。「フィード」とは、新着コンテンツが連続して並んだリスト状の画面のことで、X(旧Twitter)やInstagramのタイムライン、Yahooニュースのトップページなどが代表例です。
インフィード広告はそのフィードの中に組み込まれるため、コンテンツとデザイン・フォーマットが近く、一見して広告とわかりにくいのが特徴です。これを「ネイティブ広告」と呼ぶこともあります。
バナー広告との違い
従来のバナー広告は、ページのヘッダー・サイドバー・ページ下部などの「広告枠」に表示されます。つまり、コンテンツとは明確に切り分けられた場所に置かれます。
一方のインフィード広告は、コンテンツが流れる同じエリアの中に入ります。ユーザーが普段見ているコンテンツと同じ流れで目に入るため、違和感が少なく自然な形でメッセージを届けられます。
| 比較項目 | バナー広告 | インフィード広告 |
|---|---|---|
| 表示場所 | ヘッダー・サイドバー・ページ下部など | タイムラインや記事一覧の中 |
| 見た目 | 広告枠に置かれる | コンテンツと一体化している |
| 親和性 | 広告とわかりやすい | 馴染んで見えやすい |
| クリック率 | 比較的低め | 比較的高め |
ネイティブ広告との関係
インフィード広告は「ネイティブ広告」のひとつです。ネイティブ広告とは、「媒体のデザインや体験に自然に溶け込んだ広告」の総称で、インフィード広告はその中でも最もよく使われる形式です。
厳密には「インフィード広告 ⊂ ネイティブ広告」という関係になります。ただし現場ではほぼ同義で使われることも多いため、あまり気にしなくて大丈夫です。
インフィード広告が表示される主な媒体
インフィード広告は、ユーザーが日常的に使うさまざまなプラットフォームで配信できます。代表的な媒体を見ていきましょう。
X(旧Twitter)
Xのタイムライン上にフォロー中のツイートと混じって表示されます。テキスト・画像・動画・カルーセル(複数枚の画像をスライドする形式)など複数のフォーマットに対応しています。拡散性が高く、若年層・ビジネスパーソン・情報感度の高い層へのリーチに強みがあります。
Instagram・Facebook(Meta広告)
InstagramやFacebookのフィード・ストーリーズ・リールなどに表示されます。Meta広告プラットフォームから一括で配信でき、ユーザーの属性情報(年齢・性別・興味関心・行動履歴)を活用した精度の高いターゲティングが特徴です。視覚的に訴求したい商品・サービスとの相性が良く、EC・ファッション・飲食・美容などのジャンルで多く使われています。
Yahoo!ニュース・スマートニュース等のニュースアプリ
Yahoo!ニュースやスマートニュース、Gunosyなどのニュースフィードに記事広告形式で表示されます。記事タイトルとサムネイルのみ表示され、クリックすると広告主のサイトやLPに遷移する形式が一般的です。幅広い年齢層・属性のユーザーにリーチしやすいのが特徴です。
LINE
LINEのタイムライン(VOOM)やLINEニュースのフィードに表示されます。日本国内の月間アクティブユーザー数が9,000万人以上(2024年時点)と、国民的アプリならではの圧倒的なリーチが強みです。特に中高年・シニア層へのアプローチに優れています。
TikTok
TikTokの「おすすめフィード」に動画形式で表示されます。フィードに流れる動画の間に差し込まれる形で、コンテンツとの一体感が高いのが特徴です。Z世代・若年層への訴求に強く、エンタメ・ファッション・飲食・美容などのジャンルと親和性があります。
インフィード広告のメリット
インフィード広告が多くの企業に選ばれている理由には、以下のようなメリットがあります。
ユーザーに違和感なく届く
従来のバナー広告は「広告エリア」に置かれるため、ユーザーが無意識に読み飛ばしてしまう「バナーブラインドネス」という現象が起きやすいです。インフィード広告はコンテンツの流れの中に入るため、この問題を回避しやすく、ユーザーの目に留まりやすい特徴があります。
クリック率(CTR)が高い傾向がある
コンテンツと馴染んで表示されるため、ユーザーが自然な興味でクリックしやすくなります。媒体・業種・クリエイティブによって差はありますが、バナー広告と比べてクリック率が高くなるケースが多いです。
潜在層へのアプローチができる
リスティング広告は「今まさに検索しているユーザー」にしか届きませんが、インフィード広告はフィードを眺めているすべてのユーザーに表示されます。まだ商品・サービスを知らない潜在的な見込み客への認知獲得に効果的です。
精度の高いターゲティングができる
SNSプラットフォームはユーザーの属性情報・行動履歴・興味関心データを豊富に保有しています。これを活用することで、ペルソナに合ったユーザーだけに絞って広告を届けられます。「〇〇に興味がある30代女性」「過去に自社サイトを訪問したユーザー」などの細かいセグメントへの配信も可能です。
スマートフォンに最適な形式
インフィード広告はスマートフォンのスクロール体験と非常に相性がよい広告形式です。縦長のフィードをスクロールする流れの中に自然に組み込まれるため、スマホユーザーへのリーチに優れています。
インフィード広告のデメリット・注意点
一方で、インフィード広告には理解しておくべきデメリットもあります。
ステルスマーケティングと誤解されないように注意が必要
インフィード広告は「広告」の表記が必要です。2023年10月の景品表示法改正により、広告であることを明記しない「ステルスマーケティング(ステマ)」は禁止されています。各プラットフォームでは「プロモーション」「広告」「スポンサー」などのラベルが自動表示される仕組みになっていますが、自社で作成するコンテンツにも注意が必要です。
クリエイティブの質が成果を左右する
インフィード広告はコンテンツと一体化した形式のため、「コンテンツとして面白い・有益かどうか」が成果に大きく影響します。単に商品を宣伝するだけの内容では、ユーザーにスルーされやすいです。ユーザーが「見てよかった」と思えるコンテンツ設計が求められます。
記事が閉じられたり読まれなかったりするリスク
特にニュース系のインフィード広告では、タイトルとサムネイルを見て「興味がない」と判断されると、クリックすらされません。見出しとサムネイルの訴求力が非常に重要になります。
広告の「鮮度」が落ちやすい
同じ広告を長期間配信し続けると、フィードに何度も同じ広告が流れる状態(広告疲れ)になり、クリック率が落ちていきます。定期的にクリエイティブを更新するサイクルが必要です。
インフィード広告の運用・活用ポイント
実際にインフィード広告を運用するうえで押さえておきたいポイントをご紹介します。
コンテンツとして価値のある内容にする
インフィード広告で成果を出すコツは「広告っぽくしすぎない」ことです。ユーザーがタイムラインに求めているのは「役に立つ情報」「共感できる内容」「面白いコンテンツ」です。商品の宣伝を前面に押し出すのではなく、ユーザーの悩みや課題に答える形で情報を提供することで、クリックされやすくなります。
例えばWebマーケティング支援の会社が広告を出す場合、「お問い合わせはこちら」という一方的な訴求よりも、「中小企業がSEOで成果を出す3つのポイント」のような役立つ情報を提供する方が、ユーザーに受け入れられやすいです。
最初の1〜2行(キャプション)に力を入れる
フィードに流れてくる広告を見るユーザーは、冒頭の数行で「続きを読むかどうか」を判断します。テキストの最初の1〜2行に、ターゲットが引きつけられるフックを入れることが重要です。数字・問いかけ・ユーザーの悩みに直接触れる言葉などが効果的です。
ABテストを積み重ねる
画像・動画・テキストなど異なるクリエイティブを複数用意して、どれが成果につながるか比較するABテストを繰り返すことが大切です。感覚ではなくデータで判断することで、広告の精度を継続的に高められます。
ランディングページとの一貫性を保つ
インフィード広告でクリックを獲得しても、遷移先のランディングページ(LP)が広告の内容と一致していなければ、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。広告のトーン・内容・デザインとLPを揃えることで、コンバージョン率を高められます。
配信目標に応じて媒体を選ぶ
若年層にリーチしたいなら「Instagram・TikTok」、ビジネスパーソンには「X・LinkedIn」、幅広い年齢層には「LINE・Yahoo!ニュース」というように、自社のターゲットに合った媒体を選ぶことが重要です。複数の媒体に同時出稿して成果を比較するのも有効な方法です。
インフィード広告の費用の目安
インフィード広告の費用は「配信費(広告費)」と「クリエイティブ制作費」の2つに分かれます。
配信費(広告費)
媒体ごとに最低出稿金額や推奨予算が異なりますが、各SNSの運用型広告では少額から試せます。目安として月3万円〜5万円から始めて、成果を見ながら拡大するのが一般的です。本格的に運用する場合は月10万円〜20万円以上の予算を確保すると、データが集まりやすくなります。
課金方式はCPC(クリック課金)・CPM(インプレッション課金)・CPV(動画再生課金)など媒体によって異なります。目的(認知拡大・クリック誘導・コンバージョン)に応じて最適な課金方式を選びましょう。
クリエイティブ制作費
画像バナーなら1点3,000円〜10,000円程度、動画クリエイティブになると5万円〜数十万円と幅があります。ABテストを前提にすると複数のクリエイティブが必要になるため、制作費はあらかじめ予算に含めておくことをおすすめします。
外部の広告代理店に運用を依頼する場合は、上記に加えて運用手数料(広告費の20〜30%が相場)がかかります。
まとめ
インフィード広告は、SNSや記事サイトのフィードの中にコンテンツと一体化した形で表示される広告です。ユーザーへの違和感が少なく、クリック率が高い傾向があり、潜在層への認知拡大にも効果を発揮します。
一方でクリエイティブの質と媒体選定が成果を大きく左右するため、「ターゲットに合った媒体選び」「コンテンツとして価値ある内容づくり」「ABテストの繰り返し」が運用の要になります。
Web広告を検討しているけれどバナー広告だけでは物足りなかった、あるいはSNS広告に興味があるという方は、インフィード広告をぜひ選択肢に加えてみてください。