Webマーケティングを始めようとする企業から、こんな相談が届くことがあります。
「広告を出したいので、LPを作りたいんです。」
悪い発想ではありません。広告を出すにはランディングページが必要で、まず形にすることが出発点になる。その順番自体は正しい。
ただ、「とりあえずLPを作って広告を出してみる」という進め方で、うまくいくケースは多くありません。
なぜなのか。当社がこれまで関わってきた事例をもとに、正直にお伝えします。
「とりあえずLP×広告」がうまくいかない5つの理由
LPがサービス紹介になっている
「LP制作がしたい」という相談でヒアリングをしてみると、実態は「サービス紹介ページを作りたい」というケースが少なくありません。
サービスの概要や特徴を伝えるページを作り、そこに広告を流す。一見筋が通っているように見えます。でも考えてみると、それは広告費をかけてサービスページに誘導しているのと、ほとんど変わりません。
広告から流入したユーザーが求めているのは「このサービスはこういうものです」という説明ではなく、「自分の悩みが解決できるかどうか」という確信です。
実際にあった事例
福祉系サービスのLP制作のご相談をいただきました。「広告を出したいのでLPを作りたい」という内容で、サービスの概要や特徴をLPにまとめたいとのことでした。
この場合、まず「LPにサービス紹介を載せるだけでは、コンバージョンにつながりにくい」という話をしました。そのうえで、ターゲットユーザーの声を深掘りし、競合他社の施策も調査したうえで広告からLPのコンテンツまでをワンストップで設計しました。
比較できる「before」がないため数字での比較はできませんが、当初の期待値を上回る成果が出て、他媒体の広告よりもコスパが良いとご評価いただけました。
ターゲットをひとつのLPにまとめている
ひとつのLPで複数のターゲット層をカバーしようとすると、「誰にも刺さらないページ」になりやすいです。
検索キーワードが違えば、ユーザーが求めている情報も違います。「求人 エリア名」で検索している人と「求人 職種名」で検索している人では、見たいコンテンツが異なります。それを同じLPで受けようとすると、どちらのユーザーにも中途半端なページになってしまいます。
実際にあった事例
人材系サービスのLP制作のご相談をいただきました。すでに広告で一定の成果は出ていたが、「もっとCV率を上げたい」という内容でした。
ヒアリングを進めると、複数のターゲット層がひとつのLPに集約されていることがわかりました。流入してくるキーワードごとにユーザーのニーズが異なっていたにもかかわらず、全員に同じ内容を届けていた状態です。
キーワード群を整理してターゲット別にLPを分割し、広告も出し分ける提案を行ったところ、CV率は大幅に改善しました。
ただし正直に言うと、LPが増えることで管理の手間は増えます。広告の運用コストも上がります。CV最大化を目指すうえで有効な施策ですが、企業の運用体制と予算も踏まえたうえで判断することをおすすめします。
広告とLPの戦略が連動していない
LP制作と広告運用が別の会社で行われているケースでは、入口(広告)と出口(LP)の設計が噛み合っていないことがよく起きます。
LPはLP制作会社、広告は広告代理店。それぞれが専門的に取り組んでいても、連携が取れていなければ、別々の方向を向いた施策になってしまいます。
実際にあった事例
「広告は出しているが全然成果が出ない」という改善相談をいただきました。LP制作と広告運用が別の会社で行われていた状況でした。
LPのデザインはきれいに仕上がっていましたが、内容はサービス紹介のみ。広告のキーワードも広く設定されていて、「誰に何を届けるか」という戦略がない状態でした。
戦略の部分から見直し、広告のキーワードを整理したうえで、ターゲットユーザーの課題から逆算してLPのコンテンツを再設計しました。入口から出口までの流れを一貫して設計し直すことで、広告の効果を体感していただけました。
キーワードの設定が広すぎる
「とりあえず広告を出す」という判断が生まれると、キーワード設定も「とりあえず広く」になりがちです。
広いキーワードはクリック数が増える一方で、購買意欲の低いユーザーや関連性の薄いユーザーも流入します。クリック課金型の広告では、こういったユーザーにも広告費が発生します。
購買意欲の高いキーワードに絞り込んで設定するほうが、少ない予算で成果につながりやすいケースがほとんどです。
効果が出るまでの期間を短く見積もっている
リスティング広告は、出稿してすぐに最適化されるわけではありません。データが蓄積されるにつれて広告の質が上がり、成果が安定してくるまでに一般的に3〜6ヶ月程度かかります。
「1ヶ月試してみて効果がなかったのでやめた」というケースは、実は最も費用対効果が悪い判断のひとつです。ある程度の期間、データを見ながら改善を続ける体制が整っているかどうかも、施策を始める前に確認しておくとよいポイントです。
「とりあえず」が生まれる理由
ここまで読んで「やはり戦略をしっかり立てなければ」と感じた方もいるかもしれません。ただ当社は、「とりあえず」という発想を頭ごなしに否定したいわけではありません。
「まず動いて検証する」という姿勢は、マーケティングにおいて大切な考え方です。ただ、LP×広告の施策は「とりあえず動く」が特に噛み合いにくい。その理由を少し掘り下げてみます。
「LPは道具」という発想になってしまう
LP制作の相談でよくあるのが、「LP=広告を出すために必要な道具」という捉え方です。
道具は揃えてから使う。だから「まずLPを作って、それから広告を出す」という順番になる。一見当然の流れに見えますが、ここに落とし穴があります。
道具(LP)を揃えることが目的になると、「何を達成するためのLPか」という視点が後回しになります。デザインや文章のクオリティにはこだわっても、「このLPで誰のどんな課題を解決するか」が定まっていない状態で制作が進んでしまうのです。
LP制作と広告設計が別のタイミングで考えられる
「まずLPを作る、広告はその後」という順番で進めると、LP制作の時点で広告設計の視点が抜けやすくなります。
後から広告を設計する段階で「このLPでは対応できない」「広告文とLPのメッセージが合わない」という状況が生まれることも珍しくありません。LP×広告は、最初からセットで設計することで初めて機能します。
広告費が発生することへの意識が薄い
「とりあえず試してみよう」は、コストが小さい施策では有効な考え方です。ブログ記事を書いてみる、SNSに投稿してみる——これらはやり直しも気軽にできます。
ただ、リスティング広告は出稿した瞬間から費用が発生します。「とりあえず」の状態でスタートすると、戦略のない状態で毎日広告費が消えていきます。
「まず少額で試してから」という判断自体は悪くありませんが、最低限の戦略設計をしてからスタートできると、同じ費用でより多くのデータが得られます。
LP制作を依頼する前に確認しておきたいこと
「じゃあ、何を決めてから始めればいいの?」という方のために、LP制作を依頼する前に整理しておくと良い項目をまとめました。
すべてが揃っていなくても制作を始めることはできますが、これらが曖昧なまま進むと、完成後に「なんか思ってたのと違う」「成果が出ない」につながりやすいです。
誰に届けるか(ターゲット)が決まっているか
「20〜40代の転職希望者」のような大きな括りではなく、「転職を考えているが会社に言い出せない30代の会社員」くらいの粒度で決まっているとLPの言葉が変わります。
ターゲットが曖昧なまま制作を進めると、誰にでも当てはまる無難な表現になりがちです。
成果の定義が明確か(何をコンバージョンとするか)
「問い合わせを増やしたい」「資料請求を増やしたい」「電話を増やしたい」——CVの定義によって、LPのゴール設計が変わります。
CVまでのユーザー行動(例:電話はハードルが高いので、まず資料請求→営業電話のステップに分ける)も事前に整理しておくと、LP設計の方向性が明確になります。
広告とLP設計を一緒に考えられるか
LP制作会社と広告代理店が別々の場合、「LP完成後に広告設計をする」という流れになりがちです。
一社でLP制作から広告設計までを担当できるか、あるいは両社が連携できる体制があるか、確認しておくとよいでしょう。
運用体制と予算が整っているか
LP×広告を始めたあと、データを見ながら継続的に改善する体制があるかも重要です。
「一度作ったら終わり」「出稿したら任せきり」という状態では、成果が出にくいだけでなく、改善の機会も失います。運用担当者の工数と予算の目処を持ってから始めることをおすすめします。
LP×広告 成果を出すための設計チェックリスト
LP制作・広告出稿の前に確認しておきたい項目をチェックリストにまとめました。
「自社だけでは整理が難しい」「どこから手をつければいいかわからない」という場合は、当社では戦略フェーズの整理から一緒に取り組むことができます。チェックリストを見ながら、気になる項目からご相談いただけますので、お気軽にどうぞ。
戦略フェーズ
- ターゲットユーザーの人物像が具体的に定義されている
- 流入させたいキーワードが整理されている
- キーワードごとにターゲットやニーズが整理されている
- コンバージョンの定義(問い合わせ・資料請求など)が決まっている
- 目標のCV数・CV率が設定されている
LP設計フェーズ
- ファーストビューでターゲットの課題や悩みに言及している
- サービスの説明より「ユーザーへの価値」が軸になっている
- CTAが明確で、CVへの導線がページ内で整理されている
- スマートフォンでの表示・操作が最適化されている
- ページの読み込み速度が適切か確認している
広告設計フェーズ
- 広告文のメッセージとLPのファーストビューが一致している
- キーワードと広告文、LPの内容が一貫している
- 購買意欲の高いキーワードに絞って設定されている
- 除外キーワードが設定されている
- 広告の配信先(デバイス・地域・時間帯)が整理されている
運用フェーズ
- 効果判断の期間(最低3ヶ月)が合意されている
- データを確認・改善するサイクルが決まっている
- A/Bテストを行う体制・タイミングが決まっている
まとめ
「とりあえずLP作って広告を出す」がうまくいかない本当の理由は、LPの品質だけの問題ではありません。LP×広告の戦略設計が先にあって、それをもとにLP制作・広告設定が進む、という順番が抜けていることが多いです。
- 誰に届けるかを先に決める
- LPはサービス紹介ではなく課題解決を起点に設計する
- 広告→LP→CVを一貫して設計する
この3点を起点に整理してみると、施策の方向性が見えてきます。「LP制作を検討している」「広告の成果が出ない」という方は、まず戦略の部分から一緒に整理しましょう。